――外郭団体の埋蔵金返還について、道庁と札幌市に温度差があるのでしょうか。
宮脇 外郭団体の埋蔵金返還について、札幌市の方が実際に行動を起こしている。それは、官僚体質の差ではないかと思う。官僚体質というものは、一定の方向に向けば力を発揮する。札幌市と道庁を比べると、札幌市の官僚体質が外郭団体の埋蔵金返還では良い方向に作用しているということだ。


――道庁は官僚体質が弱っているということでしょうか。
宮脇 道庁の官僚体質はあまり機能していないのではないか。表現は悪いかも知れないが、道庁は“鵺”(ぬえ)のように見える。道議会の関係があるのかも知れないが、道庁のガバナンスが効いていないのではないかと思う。
――外郭団体の見直し、改革の実行にはトップの考え方が不可欠ですね。
宮脇 トップの考え方が最も大切なことだ。トップが、埋蔵金返還に象徴される外郭団体改革を最優先課題として取り組む姿勢を組織内で見せることが実現のブレークスルーになる。外郭団体の改革を行う担当部局が、他の部局よりも比較優位に位置すると組織内で認識させることが重要になる。
出資金や埋蔵金返還が出来ない理由を外郭団体に求めることや、それが出来ないことは知事や市長に対する反抗行為であるというガバナンスを効かせることが不可欠。
――それでも、それぞれの外郭団体はそれぞれの業界と密接に結び付いており、存在意義があるのでトップのガバナンスだけでは摩擦が大きくなるだけではないですか。
宮脇 それぞれの外郭団体が情報をきちっと出すことが前提。道庁や外郭団体、業界が実態を共有しなければならない。ひとつひとつの外郭団体にはそれなりの存在理由がある。しかし、全体と比較してどうなのかという議論を深めていくことが必要。
それにしても、道庁の官僚体質の劣化は目に付く。外郭団体とは関係ないが、道の成長分野は農業と観光と言われるが、道庁が積極的に動いているという印象がない。他の地域と比べても劣化しているのではないか。道内の市町村もそれを見抜いているから、道庁を経由しないで霞が関や民主党に直接案件を持ち込んでいるという。霞が関も政治経由でなくても、市町村の声を聞くようになったこともあるかも知れない。私は、北海道の危機は道庁の危機と裏腹の関係のように見える。
(この項おわり)

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