ダイイチ若園清社長インタビュー「ススキノ進出の勝算、イトーヨーカ堂との提携関係を深化させる」

流通

 ――仕入れの期ずれ計上など不適切会計を、どのように受け止め、どう改善していきますか。

 若園 不適切会計が起きた一番の原因は、上場企業として役員の考え方に齟齬があったことです。本当の意味での上場企業としての役員の考え方があったのかどうか。ここが大きかったと思います。監督官庁、関係機関の指摘、協議など指導を受けながら、再発防止策を昨年発表してから、間もなく1年近くが経ちます。先般、中間の報告も行いました。再発防止策が、当たり前に運用されていくように努めているところです。

 ――不適切会計の業績への影響はほとんどなかったと思います。

 若園 売り上げの目標を絶対に死守するという中で、かなり無理な商いをしてきたのは事実です。従業員たちは創意工夫をしてくれたと思いますが、無理があったのは確かでしょう。第2四半期までは、ある程度堅調な推移ですが、不適切会計の是正に基づく業績の悪化ということはないと思います。すでに前期で処理して、しかるべきペナルティも実施しましたから、大丈夫だと思いますが、問題は、電気代の高騰が非常に利益を圧迫することです。おそらく、電気代は2億数千万円から3億円近くになるでしょう。当社の経常利益からいくと、本当に1割の上昇では済みません。電気代は6月からまた膨らんできます。通期では開示している目標は死守したい。

 ――売り上げが伸びても、カバーできないと。

 若園 どこまで、売り上げ増による粗利増で吸収できるかです。スーパー各社は2月、3月の決算が多いのですが、当社は9月決算です。電気代の高騰は、昨年の10月、11月から始まりました。2月期、3月期のスーパーは電気代高騰の影響は半年間でしたが、当社は1年間まるまる影響を受けた決算数字になります。

 ――ダイイチは、電気代高騰を先行的に示す決算になると。

 若園 そう思います。何ともこの後の予測がつかない部分です。電気代以外には、人件費も上げました。上げたと言ったら、まだまだと従業員に言われますが、初任給やベースアップも引き上げましたし、パートナーさんの賃金も昨年、最低賃金が上がった時にプラスアルファして上げました。今年4月以降も、プラスアルファで支給することにしました。

 ――物流に関しては、2024年問題がありますが、現状はどうですか。

 若園 現在、当社が物流を委託しているベンダーや取引先との間では、良好な関係ができているので、2024年問題でお互いに辛い思いをすることは今のところ出てきていません。当社の場合、店舗展開が帯広、旭川、札幌と分かれており、それなりの塊になっていますから、物流の効率は悪くはない。ただ、2024年問題に向けて、情報の収集だけは最大限するようにしています。今のところは、まだ情報収集段階です。

 ――惣菜などのセンター化については、どう考えますか。

 若園 惣菜センターは、かなり老朽化しているので、今後の課題です。人手不足が続く中で、いわゆるセントラルキッチン、センター対応による効率化を求めていかなければならないですが、今、当社がそこに投資をする段階ではないと思います。他社との差別化の中で、効率は悪いですが、インストア比率を高めて手間暇かけ、少しでも付加価値を高めて、お客さまに近いところで商品を提供するのが、当社の選択肢だと考えます。

 ――そこに差別化の源があると。

 若園 ただ、5年先、10年先を考えた時、単独か共同かは別にしても物流一元化、共配と同じような意味で、センター化の問題も考えていかなければならないだろうと思います。(終わり)

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