ーーコロナ禍で販売品目の変化は出ていますか。
青栁 巣ごもり需要によって、世の中で言われる通りのパスタや粉モノの品不足がありました。最初はカップ麺や袋麺が売れましたが、最近は基礎調味料が売れるようになっています。簡便・即食商品も売れていますが、出来合いのものにひと手間かけて自分の味を出すような方向に変わってきていると思います。時間軸とともにお客さまの嗜好が変わっていっているわけで、それらにどう対応出来ているかがウィズコロナで一番のポイントではないでしょうか。
ネットスーパーも大きく伸びています。外出自粛ということになった瞬間に注文が殺到しました。予約件数を増やすと庫内作業や物流にも支障が出てきます。予約の締め時間を少し前倒しするなどして対応していますが、以前から課題だと思っていたことが、コロナ禍の需要増であらためてクローズアップされていると思います。
ーーネットスーパーの伸び率は。
青栁 3~5月は、前年比140%ほどでしたが、現在も130%程度伸びています。間違いなく非接触の購買に移ってきている印象です。お中元も感染防止対策を講じた上で店舗にカウンターを用意していますが、三密(密閉、密集、密接)に繋がりやすいのでネットで注文するお客さまが確実に増えています。
ーー実店舗の来店客数は前年割れが続いています。客数は経営上の重要な指標ですが、コロナ禍での来店客増の取り組みはどうですか。
青栁 お客さまの来店頻度が減って、まとめ買いが増えているのは他社も同じです。客数をどれだけ昨年に近づけられるかは課題ですが、特別なプロモーションを打って集客すると、三密の問題が出てきます。三密になればお客さまの安全安心を担保できない。まとめ買いのお客さまが増えている中にあっては、欠品や品切れは店舗にとって致命的なことですから、いつ来店していただいても欲しい商品が買える環境を整えることが必要です。まとめ買いでは、鮮度が良くて長く保存できる商品を揃えるという商売の基本の徹底が重要です。それができるかどうかの差が、これから先に出てくるのではないか。ウィズコロナの時代はお客さまにきちんと選んでいただける店舗になることが、第一だと思っています。
ーー今後のGMSの方向は。
青栁 売り場など具体的に対応策が構築できているわけではありません。ただ、コロナ禍ではお客さまが求める商品の機能とかキーワードは何かということを各売り場でどう捉えるかが大事だと思います。季節の祭りなどの中止で浴衣のマーケットは厳しく、水着も同様だった。社会行事に関連するマーケットは我々の強い分野ですが、今はそこが一番の弱点にもなっています。新しい生活様式でマスクをすることが不可欠だと考えると、「ぴたマスク」や「ひやマスク」(共に同じイオングループの㈱コックスが開発した商品)、「ファッションマスク」、「マスクケース」など様々なマスク及び関連用品があります。首にかける扇風機がとんでもなく売れたりします。また、マスクをしているのでリップは伸び悩んでいますが、目元周りの化粧品は好調ですし、ファンデーションも伸びています。夏場にマスクをしていると敏感肌の人は皮膚が荒れてきますから、冬場に売れるものが夏場にも売れています。手洗いの頻度が高くなったため、ハンドクリームも提案すると売れたりということもあります。
ウィズコロナ時代のGMSは、お客さまに必要なものをいかに想定して品揃えするか、そうした知恵比べをしなければいけません。テレワークが増えてビジネス需要の衣料はダウンしていますが、家にいる時間が長くなるのでパジャマではないけれどもリラックスできるウェアが、急伸しています。お客さまの生活様式が変わったことに対応して、売れる商品を考えながら売り場を作り直してどう提案するかということが、ウィズコロナの時代はGMSにとって一番大きい部分ではないでしょうか。