ーー「まいばすけっと」の経営状況はどうですか。

 青栁 小型スーパーとして生鮮のSKU(在庫保管単位)を増やすこととGMSやSMと同じリーズナブル価格で提供することをコンセプトにして展開しています。圧倒的に売れるペットボトル飲料は、GMSの2ケタ売価で並べています。コンビニは、PBは2ケタ売価、NBは3ケタ売価ですが、「まいばすけっと」は、NBも2ケタ売価にして棚割りもワンプライスでゾーニング、分かりやすい売り場にしてきました。近くにある足元の店舗としては、必要なものを買っていただくMD(販売政策)を展開しています。
 コロナ禍が始まった頃は足元需要が強くなって、一気に日販が伸びました。今は、徐々に戻ってきており、そのギャップも課題です。今回について言えば、マスクは「まいばすけっと」にずっと送り込みました。コンビニにマスクがないときでも、「まいばすけっと」にはあるという状態をつくり出すことができました。これは、業態をフルに持っている強みがあるからできたことです。
「まいばすけっと」事業は収益面ではプラスになっていませんが、黒字店舗の比率が高くなっており、今後2~3年後には黒字化したい。併せてもう一度、「まいばすけっと」のコンセプトを見直さなければならない時期になっています。ロケーションによって売れる商品が違いますし、欠落している品揃えなどカバーしなければならない。デリカや弁当、惣菜の強化が必須だと認識しています。コンビニにはそれが目的で行きますが、今後どうやってその部分をカバーしていくかです。建設中の石狩市のプロセスセンター(PC)の稼働開始に向けてどう対処していくか検討します。現在は札幌市内40店舗ですが、2025年に100店舗にする目標は変えません。

 ーーPCの位置付けを教えてください。

 青栁 今後の出店や現行店舗の人的資源がこれから潤沢に採用できるわけではないので、PCのアウトパック商品としてスペックの良いものを作り、店舗のインストア作業を置き換えていくことと、自前で自分たちの主要な商品を作ることが目的です。地域の原材料を使ったイオンとしてのオリジナリティのある商品を作っていく拠点になります。道内のスーパー各社はPCを自前で持っていますが、唯一持っていなかったのが、旧イオン北海道と旧マックスバリュ北海道でした。稼働は来年9月の予定です。

 ーー本社の増築工事を進めていますね。

 青栁 増築社屋は8月末に竣工、引き渡しとなりました。入居するのは9月の初めからです。現在も、本社の基本機能はこちらにありますから、旧マックスバリュ北海道の本社があった北8条事務所で勤務している従業員の多くがこちらに移ってきます。何人になるのかは調整している最中です。

 ーー昨年、札幌市豊平区の中の島地区に約1525坪(5035㎡)の土地を取得していますが、活用策は。

 青栁 どういうフォーマットの店舗にするか検討中です。基本的にはSMをやる方向ですが、あの敷地面積でどんなものができるか、結論は出ていません。近くの自衛隊札幌病院跡地にも商業施設ができるので、環境も変化するためそれらを考えてフォーマットを決めていきます。

 ーー直近では、7月24日に「マックスバリュ日新店」(苫小牧市)を出店しましたが、今後の新店計画は。

 青栁 現段階では公表できるようなものはありません。できるなら出店していきたい。コロナの影響でライフスタイルが変わったり商品の組み合わせが変わったりしています。また、ドラッグストアも食品領域をどんどん広げています。そうした環境下で、どんなフォーマットなら勝てるのか、拙速に従来通りの店舗を作っても通用しないのではないか。その点、社内でよく検討していきたいと考えています。(終わり)



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