イオン北海道・青栁英樹社長インタビュー「GMSとSMの統合効果を発揮、エリアで存在感高める」

流通


 ーー国内的にはあまり例がない業態間統合ですね。

 青栁 これまで、イオンもマックスバリュも様々なSM企業と業務提携してきた歴史があります。対外的な見方では、それらがGMSに寄りすぎてうまくいかなかったと見えていたかもしれません。今回も、旧マックスバリュ北海道の良いところが反映できなくなって、良さが消えていくのではと思われているようです。しかし、お客さまにとって、買う場所をどこにするかの違いでしかありません。冷静に品揃えを見れば、8~9割は商品が同じ。独自の商品はそれぞれほんの数%ずつしかない。一緒に運営しても違和感はなく、エリアが決まっているからイオンの主任とマックスバリュのチーフが地域会議で一緒になっていろんな議論をする機会が増えました。「こう商品化しよう」など、地域ごとにスモールな集団が形成され、お互いに刺激を与えています。
 前述のように今回の統合の目的は、北海道の食の領域で他社と差別化して勝ち残っていくこと。業態の勝ち残りではなく、エリアの中で業態を問わず勝ち残っていくという考え方でなければならない。地域のお客さまは人口減少によって今後減っていくことになりますから、その中で当社の営業店舗を利用していただくお客さまをたくさんつくり出さない限り勝てません。

 ーーSMとGMSを一体的に運営することで販売促進活動が難しくなるのでは。

 青栁 現在、チラシは別々に打っています。価格帯も違うので、それを一気に合わせることはできません。まずはお客さまにとって、「マックスバリュもイオンもザ・ビッグもいいよね」というように思っていただくことが第一。それぞれの店舗が、地域のお客さまに一番だなと思われることが、結果として企業全体の底上げに繋がります。

 ーー統合後に見えてきた課題は。

 青栁 これまでの「マックスバリュ」は、本社主導型のマネジメントや売り場作りをしてきました。つまり、プッシュ型で商品が投入されて売り場を作っていく考え方です。一方、「イオン」は現場が考えた売り場作りに取り組んできた歴史があります。「イオン」は、バリエーションのある商品メニューから、自分たちの店舗で最適なパッケージはどれか、という考え方で売り場を作ってきたのです。現在、「マックスバリュ」をプッシュ型から「イオン」のようなプル型に変えています。その際には、売り場の人たちの志向や働き方をどう変えていくかが必要です。「マックスバリュ」には、少ない人数で売り場を作っていく力がありますから、これは壊してはいけない。これをどう「イオン」の大型店に取り入れていくか。互いに幹部級の交流異動はしていますが、売り場のチーフや主任、店長の大規模な異動はまだしていません。「マックスバリュ」と「イオン」では、追求するものが違います。良い面、悪い面をどう調整するかが次の課題です。

 ーーチーフ、主任、店長の異動はいつごろから実施しますか。

 青栁 互いの社員の志向がまだ十分に把握できていないので、本人の将来志向などをヒアリングしながら、どう育成するかを考えた上で今後交流人事を行いたい。今後の人口減や労働法制を考えると、効率的な働き方を志向している企業のノウハウを取り入れていくことも必要になるでしょう。

1 2 3 4

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER