伊達市が産業振興基金2億円を積み、農業分野の所得増に向けた検討を始めた。伊達市の農業は野菜類が中心だが、ブランド化を推進し農家所得を高め、新たな雇用増に結びつける考え。近いうちに基金を10億円まで積み上げたい意向。(写真は菊谷秀吉市長)
産業振興基金は、伊達市の産業移出を高めて自立できる自治体を目指すためのもの。
昨年積んだ2億円を元に、まず農業分野で根幹的な議論を進めるための検討委員会を立ち上げている。
伊達市の農業は、かつて早出し野菜で知られていたが、現在は全道的にハウス栽培が普及し優位性が薄れている。
菊谷秀吉市長は、「今までと同じことをやっても同じ結果しか生まれない。農業の根幹的なことを変えないと前に進まない。一体何が問題なのか議論をして、農業を再生したい」と言う。
伊達市の野菜農家は、単収は高いものの面積が小さいなど構造的な問題を抱えている。また、農業従事者も高齢化し担い手が不足しているなど道内農業に共通した課題もある。
ただ、系統組織のあり方についてまでは深入りせず、農家所得をいかに向上させ新たな担い手をどう確保するかを主眼にする考え。
そのひとつが野菜の産地ブランド化。しかし、ブランド化するには一定量を絶えず出荷し続けることが必要で、価格競争力を付け産地間競争にも勝ち抜かなければならない。
検討委員会では早急に農業再生に向けた具体策作りを進めてく。
伊達市の人口は社会的増加で自然減を埋められない状況が続き、減少傾向を示している。ただ、4年前ころには30代の人口増加が顕著だった。雇用の受け皿になったのが高齢者福祉の分野。しかし、この分野も成熟化してきたため、新たな雇用創出の必要に迫られている。
「産業振興基金は新たに雇用をどう作っていくかが最終的な目的で作ったもの。伊達市は農業分野で20代、30代の雇用を生むことを当面の解決策にしたい」(菊谷市長)