大地みらい信用金庫・遠藤修一理事長インタビュー「深い相談型バンキングを目指す」

金融

(写真は、大地みらい信金本店)

 遠藤 昨年は、世界三大シーフードショーと言われているボストンのシーフードショーにも会員たちと一緒に参加しました。シンガポール、香港などアジアの展示会や東京で開催されるフーデックスには毎年参加しています。一度アメリカの市場を体感したいということで参加したのですが、ニューヨークでも商談会を開きました。日系商社や信金中金ニューヨーク事務所の協力で実施したのですが、会員たちは大いに手掛かりを掴んだようです。

 ーー2019年の重点戦略について聞かせてください。

 遠藤 根室、釧路の景気は北海道の中でも厳しい状況で推移すると覚悟しています。取引先と長い付き合いがあっても、廃業か存続かを迷うような時代に、過去の縁を重視するだけでは本当の価値提供にならない。19年は、取引先の深いニーズは何かを追求する1年になると思う。その意味では、事業承継や信託業務は深さの実現に近づく大きな武器になると考えています。

 知識があって技術を学んできただけではなく、お客さまの悩み、苦しみ、将来への不安まで奥深く入っていけるメンタリティや共感性を持つ職員を育成することが大切です。このため内部的には人事制度をも変えます。単に働きやすくというよりも価値観に応じて目指すステージを設定する多様な選択型にして、職員一人ひとりに『実りある人生』を歩んでもらう制度を20年度にはスタートさせたい。

 いずれにしても、当金庫のビジネスモデルを深い相談型に変えていきます。前述したように高い品質の相談業務しか金融業務としては残らない。そうした高い品質の相談業務を担う人材のモチベーションを高め、人生の価値を感じてもらう制度を私たち経営陣が整備する責任がある。それがある意味で経営姿勢の表明だと考えています。

 ーー最後に、合併統合についての考えは。

 遠藤 再編を目的とする合併は考えていません。道東には6つの信金がありますが、関東1都6県とほぼ同じ面積で人口は約100万人。十勝圏、オホーツク圏、釧路・根室圏で人口は、ほぼ3分割されています。営業範囲は重なっているところもありますが、札幌ほど重ならず互いに守るべき地域の認識ができているのが特長です。連携して一緒に取り組むことを積み重ねてきていますから、相談ごともすぐにまとまりますよ(笑)。

 ーー本日はありがとうございました。

1 2 3

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER