根室と釧路、札幌に拠点を持つ大地みらい信用金庫(本店・根室市)は、根釧地域の基幹産業である水産業の厳しい状況を踏まえ、取引先とともに持続的成長に向けたシナリオづくりや具体的アクションを起こすなど伴走型支援を強めている。コロナと水産の危機という二重の苦しみの中で、「信金の役割があらためて問われている」と遠藤修一理事長(64)は話す。地域商社設立も予定している同信金の2021年の戦略についてインタビューした。(写真は、遠藤修一理事長)

 ーー根室、釧路の経済状況をどうみていますか。

 遠藤 業種によって違いますが、酪農関係は安定基調で建設関係も安定しています。一方、水産関係は全道共通ですが、皆さん悩みが深い。水産に関連する運送や魚箱製造、氷販売、水産加工など皆さんがどのように対応していくか、一番私たちが気にしているところです。そうした中でも、木箱の加工度を上げて水産以外のデザイン化した木材製品として新市場を拓く企業なども出ています。
 私たちへの相談では、新規事業もそうですが、事業承継をしながら生き延びるシナリオを考えつつ、情報の提供も組み合わせてほしいなど貸し出し以外の相談も増えています。当金庫では、『地域みらい創造センター』でそうした相談に乗っていますが、こういったことをアラカルト的な対応として進めるのではなく、本業の中に溶け込ませていかなければならない。全店舗の担当者が融資の話もするし、そういった様々な相談にも対応していく体制が徐々に進んでいます。窓口で待っていても取引先は相談に来てくれません。私たちの側から取引先を訪問して、経営に関する様々な話を聞かせていただくようにしています。一番大事なことは、『大地みらいに相談してみようか』と取引先や関係先に思ってもらえること。そこに経営の価値観を置いて頑張る時だと思います。

 ーーコロナ禍における信用金庫の役割をあらためて聞かせてください。

 遠藤 地域経済が危機の時こそ使命が鮮明でなければならないと思います。根室もそうですが、釧路も日本製紙の撤退問題で大変危機感が募っています。危機感がある時こそ信金には具体的な役割が求められますし、取引先との普段の関係性が生かしていけると思います。
 根室はコロナ禍に水産の危機が重なっていますから、非常に危機感が強く、取引先の自助努力を超えている部分もあります。資金繰りのお手伝い、生き延びるためのお手伝いは当然ですが、大切なことは独自技術や有形無形の力がそれぞれの企業に蓄えられていることを私たちが良く見て、取引先と一緒に生き延びるシナリオを共に考えること、共にアクションを起こしながら伴走していくことだと思います。

 信金の姿勢は、昨日、今日にできたものではなく、山あり谷ありの地域経済を何度も経験した中で培われてきたものです。コロナ禍で苦しい時こそ取引先に声を掛けなければいけません。コロナの第3波が、なかなか収束に向かわないとすると、苦境に入る取引先への手助けも必要になりますし、国や道が金利と信用保証料を負担する新型コロナウイルス感染症対応資金(通称・ゼロゼロ資金)も3年経って返済に入り、プロパー融資で対応しなければならなくなった時、それぞれの金融機関が引当金を積んで対処する腹があるかどうかが当然、求められてきます。その時に、腰が引けるのか、あるいは生き延びるべき取引先に腰を入れていくのか、今から長期的な覚悟をしっかりと持っておかなければいけない。各信金はそういう腹を持っていると思います。



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