――苫東も半分以上の敷地が余っています。苫東を北極海航路と連動していくことも必要ですね。
横内 北極海航路で運ぶ積み荷を全国から苫小牧に集めてヨーロッパに向けて運ぶことはもちろん、ヨーロッパから来る積み荷を苫小牧で降ろして小分けして国内やアジア各国に持っていくハブ機能が果たせるようになれば良い。北極海を通ってくる船は、ある程度の砕氷機能を持った貨物船で、重量があります。燃料がたくさんいるために航路はできるだけ短い方が良い。日本で一番北にある港で積み替えて運ぶことができればベストです。まさに北海道にこそ地の利があります。
今、北米航路は津軽海峡を抜けて釜山や上海の港に運んで日本向けの積み荷をそこで小分けして持ってきています。そういう機能を含めて苫小牧に誘致しようということです。もう一つ私たちが着目しているのは、港湾は産業の広がりがあるということ。様々な作業があるため雇用を生む力がある。北海道にとってまさにうってつけのことばかりです。
――北極海航路のハブ港実現は、横内会長の悲願というべきものですね。
横内 是非そうなって欲しい。実現すると雇用や様々な面で北海道の産業の厚みが増します。苫小牧が良いことの理由に、空路や鉄路にも近いことが挙げられます。さらに苫小牧には多くのフェリー航路があって運行データも蓄積されています。一歩先行するメリットを持った港だと思っています。将来それらが動き出せば、第2青函トンネルを作ろうという議論にも発展していくでしょう。
――北海道の経済成長にすべてが繋がっていくような話ですね。
横内 その可能性を持っているのが北極海航路の活用だと思います。是非次世代の人に引き継いでいきたいと思っています。
――横内会長が陣頭指揮を執らなければいけないのでは……。
横内 世の中はきちんとした流れがあれば、引き継いでくれる人たちがいます。もし引き継いで行かれなかったとしたら、私たちの世代が流れをしっかり作れなかったからです。その際の責任は我々にあるということです。