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 ――話は変わりますが、北海道は命名から150年という節目の年を迎えました。しかし、横内会長が常々言われている危機感が、北海道には足りないように感じます。150年という節目に北海道は何をすべきかをお聞きしたい。

 横内 各自治体とも地方創生を政策課題の重要な柱にしていますが、現在の地方創生の進め方には問題があると思います。いわゆる地方版総合戦略を各自治体が内閣府に出して、優れたアイデアの事業に国が予算をつけていく仕組みが動き出しましたが、事業を認めてもらい予算を獲得することに各自治体は重きを置いていて、中長期的に地域がどうやって住民の生活や福祉を確保していくかという骨太の方針が定まっていないように見えるからです。

 各自治体の地方版総合戦略を読んでも、多くは国にアピールして予算を取るための事業計画になっています。どういう地域を目指していくのか、総合戦略を読んでもなかなか見えてこない。それは北海道だけに限りません。

 ――横内会長の眼から見て北海道が取り組まなければならないことは何ですか。

 横内 北海道は食と観光を柱にすると言っていますが、それをどうやって北海道の中で競争力のあるものにしていくか、その施策が骨太に描かれていない。これは早急にやらなければいけない課題です。加えて北海道には固有のすぐにでも解決しなければならない問題があります。それは、エネルギー問題です。原子力発電をどう動かすかという問題と並んで新電力や代替可能エネルギーをどう位置付けていくかです。北海道にとってエネルギー問題がなぜ重要かというと、全国で一番高い電気料金だからです。このままで推移すれば、北海道はエネルギーという重要な部分で地域的競争力を欠いてしまいます。

 さらに、JRの路線縮小問題を含めた将来の交通体系をどう確保していくか。鉄路だけではなく陸路、空路、海路を含めた総合的な将来の交通インフラをどう構築していくか。ようやく道庁の審議会で案が出てきて動き出していますが、本来ならもっと早くやらなければならなかった。今年中には基本的方向を決めなければならないでしょう。

 人手不足で人口減少スピードが速い地域であることを踏まえた場合、手を付けなければならないのは、既存経済の生産性向上です。第一次産業も観光などの第三次産業も生産性が一番低い分野。生産性を向上させるための施策を今、どんどんやらなければいけない。

 口で言うのは優しいですが、金融業だってそうです。北洋銀行は、懸命に生産性を向上させる運動をしています。業務の主力をどこにシフトしていけば良いのか、他の金融機関と比べて北洋銀行が生産性で劣っている面はないか、徹底的に中期経営計画で実践しています。こういうことを全北海道レベルでしっかり取り組むことが大切です。そうしなければ、GDPは維持できません。維持できなければ先程の交通インフラの整備もできず、一番大事な道民の福祉の充実も不可能になります。骨太の問題を産官学で真剣に考え実践していくことが必要です。良い意味での危機感のもと、自立を意識して動かなければいけない。



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