北洋銀行横内龍三会長インタビュー、「頭取交代」「企業統治」「北海道経済への警鐘」

金融

 北洋銀行(本店・札幌市中央区)は、4月1日付で頭取交代など役員人事を実施し大幅な若返りを図る。また、従来代表権を持っていた会長ポストは代表権を外し取締役の業務執行を監督する機能をより明確にする。新体制が始動する前の3月末で非常勤顧問に退く横内龍三会長(73)に今回の頭取交代、コーポレートガバナンス(企業統治)強化の狙い、さらに北海道経済への警鐘と打開策について聞いた。
IMG_0963《よこうち・りゅうぞう…1944年7月生まれ、長野県出身。松本深志高、京大法卒。67年4月日銀入行、96年3月人事局長を経て2000年10月東京弁護士会に弁護士登録、田辺法律事務所入所。03年6月札幌北洋ホールディングス(現北洋銀行)監査役、04年10月執行役員副頭取、05年6月代表取締役副頭取、06年6月代表取締役頭取、12年4月代表取締役会長》

 ――最初に北洋銀行トップ人事について聞かせてください。今回も4月1日の頭取交代を含む役員人事でした。

 横内 頭取交代は、私が頭取を務めていた時まで6月の株主総会後に行うことになっていましたが、そのタイミングでは新年度の事業が既に始まっています。最近は新年度が始まる4月にトップが交代する企業が多くなってきました。新年度から新しい体制で、というのであれば6月を待たずして走り出したほうが良い。6年前と同様、組織として踏襲したということです。

 ただ今回、皆さんから聞かれたのは、私から石井純二頭取(66)への交代発表は1月だったのに今回は何故12月だったのかということ。これには全く他意はなくて役員会の日程などで決めただけです。

 ――横内会長は相談役ではなく顧問に就かれますね。

 横内 頭取を務めた役員は会長、相談役、顧問を務めるのが典型的な流れでしたが、最近のコーポレートガバナンス(企業統治)の在り方として相談役や顧問を置く場合には、その役割をステークホルダーに説明できるようにしなければなりません。
 北洋銀行は、昨年春に高向巌相談役(79)が退任された時をもって相談役制度を廃止しました。その時に議論したのは、顧問のポストです。顧問には北洋銀行の場合、二通りの事例があって一つは仕事のアドバイスをもらうために銀行外の人材にお願いするケースです。もう一つは、北洋銀行の中で役員を務めて退任した人が就くケース。

 例えば札幌銀行の元頭取で北洋銀行との合併で副会長になられた吉野次郎さん(74)が退任した後、札幌銀行に関連する子会社などがあったので顧問としてそちらを見る仕事をしていただいた。しかし、合併も一段落しましたし、社内から出す顧問というポストの必要性も薄くなりました。

 4月に私は顧問に就任することになりますが、主に北洋銀行会長の立場で引き受けている様々な仕事の引き継ぎに要する期間をこのポストで対応するということです。常勤ではなく非常勤で、引き継ぎが終われば完全引退します。顧問は、もともと必要に応じて設けるものなので、その必要がなくなったら辞めるということです。

 ――会長の想定しているスケジュールだと、いつごろ完全引退ということになりますか。

 横内 北海道経済同友会代表幹事という立場で、白老に新しく建設される国立アイヌ民族博物館を応援するネットワークの代表を拝命しています。道庁に問い合わせたところ、仮に道経済同友会代表幹事を退任しても引き続きネットワーク代表は継続できるということなので、同館が完成する2020年までは務めたいと思います。

 ――道経済同友会の代表幹事は退任の可能性があるということですか。

 横内 道経済同友会は入会資格が個人なので、私が個人としてそのまま続けることも可能ですが、実質は出身組織と関わりがあります。私は北洋銀行の会長という立場で、同友会の活動をしていますから、その根っこがなくなる機会に交代することが適切だろうと個人的には考えています。新年度の総会前に同友会の幹部の方に、私の希望としては交代したいことを皆さんにお願いしてみようと考えています。

 ――横内会長が後任の代表監事を推薦することを皆さん望まれるのではありませんか。今回、北洋銀行会長に就任される石井頭取への期待感が強まるのでは。

 横内 石井新会長には、北洋銀行の代表として地元の期待に沿った活動をしてもらいたいと思います。既成の経済団体で言えば、今ポストが動き得るのは道経済同友会です。同会の幹部の方々の意向が、石井新会長にということであれば、私は強力に推薦したい。

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