北洋銀行横内龍三会長インタビュー、「頭取交代」「企業統治」「北海道経済への警鐘」

金融

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 ――ところで北洋銀行の新会長には代表権がありません。歴代会長は代表権を有するのが北洋銀行の通例でした。

 横内 最近のコーポレートガバナンスの考え方を先取りして、しっかり北洋銀行の経営に組み込んでいこうということで実行しました。今の株式会社の経営について、取締役会の役割をどう考えるかという議論があります。取締役会は、会社の基本的な方針を決めたり重要な事項を決めるわけですが、もう一つの重要な役割は、取締役会が会社の業務執行を監督していくこと。その役割が非常に強調されています。アメリカの株式会社はほとんどそうですが、CEOが取締役会の議長を務めて会社の業務執行には直接携わりません。

 北洋銀行は、取締役会の議長は定款で会長と決めています。会長は業務執行ではなく、監督の立場なので代表権は持たないということになります。その仕組みをきちっと明らかにしていきます。頭取以下が業務執行の役割を持ち、社外役員は取締役会を通じて会社の業務執行を監督していく立場になります。今回の人事による会長、副会長の役割は監督と同時に対外的な役割を引き受けることです。よりはっきりと取締役会を監督するサイドと業務執行するサイドに分けていく一環です。

 ――北海道の企業で、そこまで役割を明確にしているところは少ないですね。

 横内 まだ少ないですが、やがてそうなります。メガバンクを含めて既にそういう体制で、取締役の過半数は社外役員が占めるべきだという議論も常にあります。取締役会の機能をしっかりと先取りして会社経営の透明性を確保していく意図です。

 ――大きな改革ですね。4月に新頭取の体制でスタートするということが6年前の第1弾の改革でしたが、今回の会社経営の透明性確保は第2弾の改革と言えます。

 横内 ステークホルダーから見て透明性の高い運営体制をしっかり固めていこうという気持ちの表れです。

 ――それも北海道のリーディングバンクの役割だと。

 横内 我々がもたもたと遅れているわけにはいきません。

 ――ところで、会長から見て安田光春新頭取(58)はどんな方ですか。

 横内 言うまでもなく銀行業務全般に精通していますし、人の上に立ってリーダーシップを発揮していく点は、彼のこれまでの仕事ぶりを見た時、石井頭取、柴田龍副頭取(61)も共通して感じているところです。もう一つ、今回の役員人事で若返りということを石井頭取は非常に重視しています。メガバンクの頭取就任は50代が当たり前。当行がこれまでのような人事体制を踏襲していくと新陳代謝が遅れてしまいます。これは主として石井頭取の考え方で、私もサポートしていますが、この際思い切って若返り人事をしていこうという流れの中で決まった人事です。

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