道内の経済4団体のうち、北海道経済連合会(道経連)と北海道経営者協会(道経協)が10月1日に組織統合することになった。共に会員数の減少による組織縮小が必要だったことと道経協の役割が従来の労使関係から雇用対策に重点が移り、道経連が担う産業振興と一体化して取り組むことが効果的という判断になったからだ。両団体のトップを出している北海道電力と北海道ガスが経済界活動に支出するマネーを絞り込まなければならないというそれぞれの事情も影響したようだ。(写真は、前泉洋三道経協会長)
 
 経済団体のトップは無報酬のため、それぞれの出身企業が団体活動に伴う経費支出を負担しなければならず、年間数百万円の持ち出しとなる。また、出身企業を含めた主要企業は商工会議所を除いて事務局職員を出向という形で派遣しており、本来業務とはかかわりの薄い経済活動に“社会貢献的位置づけ”で対応してきた経緯がある。
 
 このためトップを出している企業は、資金的余裕があり出身企業の経営も安定していることが絶対条件。
 
 道経連は、1974年の設立以来、北電出身者が会長を務める不文律があり現在は近藤龍夫相談役が会長を務める。
 
 一方、道経協は北洋銀行頭取だった武井正直氏が現職時代から長く会長を務め、北洋銀の高向巖会長が札幌商工会議所会頭に就くに当たって「北洋銀が2つの経済団体トップを務めるわけにはいかない」として当時の北ガス佐々木正丞会長にバトンを渡した。その後、前泉洋三相談役が道経協会長に就いていた。
 
 しかし、北電は福島第一原発事故によって設立された原子力損害賠償機構への資金拠出や火力発電へのウエートを高めるための原油輸入に伴うコストアップ、さらに総額3000億円を掛ける石狩LNG火力発電で建設も3年後から始まるなど歳出構造の見直しが必要になっている。
 
 また、北ガスは今年12月に稼動する石狩LNG受け入れ基地への投資として400億円を投じたため今後の償却負担から、こちらも歳出構造の見直しに迫られていた。
 
 2団体のトップを務められるほど社会的影響力の強い道内企業はほかになく、北電マネーと北ガスマネーの蛇口が絞り込まれる結果として、2団体の統合は必然の流れだった。
 
 2団体の会員数は、道経協がピーク時の76年518社から現在は3割減の363社・団体に、道経連もピーク時の94年から2割減、313社になっている。
 
 こうした経済団体への加入に対して道内企業が後ずさりしていることに比べ、北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区の認定に伴って発足した運営組織「北海道食産業総合振興機構」への加入は200件以上にも及んでおり、道内企業の多くは目に見える形で効果が期待できる経済団体組織への傾斜を強めている。
 
 道内企業の多くは、言わば北海道経済のセントラル機能よりもタスクフォース機能に注目しているという訳で、今後もこの傾向は強まりそうだ。


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