新たな事業領域に挑戦する起業家の努力と功績を称える国際的な表彰プログラム「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」(以下EOY)。その日本大会に出場する北海道地区代表に木製家具カンディハウス(本社・旭川市)の藤田哲也社長が選ばれた。9日、札幌市中央区の札幌グランドホテルで開催された北海道地区大会で決定した。(写真は、2017年の北海道地区代表、ソメスサドル・染谷昇社長からトロフィーを手渡されたカンディハウス・藤田哲也社長=左)

 EOYは、起業家表彰制度として1986年にアメリカでスタート。日本では、新日本有限責任監査法人が事務局になって2001年から始まり、北海道地区大会は13年から行われている。審査基準は⓵アントレプレナー精神②企業価値の増大③経営戦略の方向性④成長可能性と影響力⑤イノベーション⑥社会貢献の6つの項目で、推薦部会7人が選考した結果、1968年創業で椅子を中心に木製家具を製造販売しているカンディハウスの藤田社長が選ばれた。

 17年の北海道地区代表だったソメスサドル・染谷昇社長からトロフィーを贈呈された藤田氏は、「今年当社は創業50周年を迎えた。創業者の長原實は3年前に他界、現会長からバトンを受けて社長をしているが、経営を繋いできて北海道地区代表に選ばれたことは大変うれしい」と話した。

 藤田氏は、1980年にインテリアセンター(現カンディハウス)にアルバイトで入り、82年に正社員として入社。バブル後、横浜営業所の立て直しのために転勤、ショールームを改装して3年で再建した。98年にカンディハウスグループの出資を受けて起業、4人でスタートした。7年後にその会社は、カンディハウス本社の出荷先として一番の会社になった。そのことがきっかけで、藤田氏はカンディハウス非常勤役員を兼務することになる。
 その傍ら、経営の勉強をするため2年間大学に通い卒業。その後、カンディハウス本社から指名され13年に社長に就任した。横浜の会社の社長も兼務している。

 受賞スピーチで藤田氏は、「社長として一番こだわって発信したのはブランディング。ブランドをどう伝えるかを経営の骨格に置いた。社内ではコミュニケーションをしっかり取り、クイックアクションを徹底している。創業者の長原が病床で色紙に書いた『創造無限』という言葉は、非常に重要な言葉だ。常にチャレンジすることで、旭川から世界に向けて、世界のブランドと認められるような仕事を続けたい」と語った。

(写真は、スタートアップの北海道地区代表に選ばれたランドスキップ・下村一樹代表取締役。右は、選考委員の北海道二十一世紀総合研究所・中村栄作社長)

 EOY日本大会では、今年から創業5年未満のスタートアップ企業を表彰するプログラムも用意。北海道地区大会では3社が、ピッチを行った結果、地区代表にはランドスキップ(東京都港区)の下村一樹代表取締役が選出された。
選考委員の中村栄作・北海道二十一世紀総合研究所社長からトロフィーが贈呈された下村氏は、「3年前に始めた時は、家電量販店で買ったテレビを木の枠に嵌めて自分が撮った北海道各地の動画を流して営業に回った。風景を売ろうとしてもなかなかわかってもらえなかったが、多くの方々の協力で私の目指す風景の流通というビジョンが少しずつ形になってきた。今後も日本、世界に向けて風景を発信していきたい」と話していた。
 北海道地区代表に選ばれた両氏は12月3~4日東京で開催される日本大会に出席する。


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