道の観光行政に苛立ちを募らせているのは、知床羅臼町観光協会事務局長の三浦里紗さん。25歳で全国公募から選ばれてマスコミの注目を集めたが、あれから3年、地域の実情がわかってくるにつれ行政に求められる役割と実際やっている行政の行動にミスマッチが多すぎると憤懣やるかたなしといった口ぶりだ。


道の観光行政に注文をつけたのは、10月5日、札幌パークホテルで行われた日経新聞札幌印刷40周年でのパネルディスカッション。『ほっかいどうにできること』と題したテーマで小磯修二釧路公立大学長や植松努植松電機専務とともにパネラーとして出席したのだが、その席で三浦氏は思い切った発言で会場内に詰め掛けた約500人の聴衆を驚かせた。
三浦氏は、「道から観光大使を委嘱されたが、ありがた迷惑。何をするのかというと、名刺が送られてきてウェブ上にブログを書いてくれというだけ。手を上げたのは私だけど、これでは負担が増えるだけで返上させてもらいたいくらいだ」
道が行っている観光振興と言えば修学旅行の誘致やセミナーの開催、観光情報をウェブ上でアップすることが中心で、三浦さんによると「そんなことを今ごろやっている」と10年どころか20年は遅れていると歯に衣着せぬ直言を繰り出す。
地域には観光のプロがたくさんいるし、いかに観光客を呼び込むか、熱心に取り組んでいる人は多い。道が取り組んでいるような観光振興策は地域に任せて道はもっと大局的なことに取り組むべきだというのが、三浦さんの主張だ。
「地域の課題は、箇条書きにすればすぐにいくつでも出てくるほど地域は明確な問題意識を持っている。道はそこに踏み込んでこうした地域の課題を少しでも進捗させるという姿勢を見せれば、地域の人たちのモチベーションは一気に上がる」と三浦さん。
水が飲みたいのにおしぼりを渡されているような――行政と現場のミスマッチはそんな表現で言い表せそうだ。

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