2011年度に札幌市議会全7会派に支給された政務調査費3億2350万円の支出先の全面公開が1日から始まった。収支報告書と活動概要報告書は市議会のホームページで掲載されているが、領収書やATM振込の取引明細書などは市議会図書室に行かなければ閲覧することができない。政務調査費は市議の調査研究に資するために必要な経費の一部として交付されるものだが、領収書の中にはお茶代やコーヒー豆の購入費なども含まれている。税金の使途として適正と言えるのかどうか、市民目線での検証が必要だ。(左の写真は、市議会図書室で政務調査費の検証をする市民フォーラム北海道の橋本勝三郎氏=右ら3人。右は宗方市議がコーヒー豆購入に支払った政務調査費の領収書)
 
 市議に支給される政務調査費は1人当たり月40万円、年間480万円。この額は全国20の政令指定都市中6番目で、神戸市(38万円)、北九州市(38万円)などが続いている。全会派の交付総額は、3億2350万円で支出総額は2億9897万円。執行率は92・4%になり10年度の執行率88・6%を上回った。
 
 公開しているのは、各会派の費目別収支報告書、政務調査活動の概要報告書のほか、領収書やATM振込みでの取引明細書、郵便局での振込票兼受領証など。領収書等の添付枚数は9146枚で昨年度の8379枚を上回った。
 
 1円の支出から領収書等を添付することになったのは08年度分から。全面公開から4年になったため透明度は高まったが、依然として支出先が個人情報保護のため黒塗りにされているものが1000枚超(10年度は1360枚)ある。
 
 黒塗りにされていないものの、自宅を事務所として使っている市議が親族に家賃を払っているケースやお茶代、コーヒー豆の購入費など調査研究という目的から見て首を傾げたくなる支出も数多く含まれている。
 
 公開が始まった1日、午前10時から市民フォーラム北海道の関係者3人が収支報告書や領収書の閲覧のため市役所15階の市議会図書室を訪れた。
 同フォーラム代表監事の橋本勝三郎氏は、「昨年は、トイレットペーパーやゴミ袋、国会議員に会うためのお土産も政調費から支出されていたが、今回も2週間は図書室に通って市民目線で適正に支出されているのかどうかを検証チェックしたい。個人情報保護ということで黒塗りにされている領収書も多いが、公人が血税を使うのに黒塗りにするのが適正なのか。個人情報の名をかたった非開示であり、公費支出先の名称を公開するのは当然の義務」と強調していた。
 
 また、同フォーラムでは不透明支出をしている市議に対して公開質問状を出し回答を求める方針で、「無回答は無回答として公開し、不適切なので回答できないと解釈する」(橋本氏)という強い姿勢で検証に臨む姿勢も明らかにした。
 
 政調費の全面公開が始まって以降、血税の使途として市民の関心は高まっているものの、市議会図書室での閲覧者は昨年延べ人数で25人にとどまった(一昨年は12人)。
議会事務局では、閲覧に訪れた市民に領収書の内容について分かりやすく説明することにしているが、橋本氏は「領収書の写しも市議会のホームページで掲載するべき。ありのままホームページに掲載すれば関心も高まるだろう」と語っている。
 なお、議会図書室は午前8時45分から午後5時15分まで入室できる。


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