コープさっぽろやマックスバリュ北海道が札幌市内に新店オープンの構えを見せている中で、アークスグループの中核であるラルズの沈黙が好対照を見せている。とりわけ業界の関心を集めているのは、既に大規模小売店舗立地法を届け出たまま、建て替えが進んでいないラルズの「フレッティ琴似店」(札幌市西区八軒)。ここから1㌔も離れていない場所にマックスバリュ北海道は土地を取得、新店建設を射程に入れている。ラルズの沈黙は何を物語っているのか。(写真は左は建て替え計画が延期されているフレッティ琴似店、右はマックスバリュ北海道が取得した土地)

  フレッティ琴似店の建て替えに伴う大店立地法の届出が札幌市から公告されたのは4月20日。それによると、敷地面積は2293㎡、地上2階建てで延床面積2680㎡。1階売場面積は1551㎡の店舗が予定されている。
 
 下手稲通側の土地を取得したこともあって建て替えによる店舗大型化が計画され、ラルズが展開する「ビッグハウス」の進化バージョンとされる「スーパーアークス」が予定されていた。
 
 届出によると、オープン日は12月13日となっているが、現在も既存店舗の営業が続いており建て替えが行われる様子はない。まして、10月以降は食品スーパーにとって年末商戦に向けた書き入れ時でこの時期に店舗閉鎖、建て替えは考えにくい。
 
 横山清社長は、「さらに土地取得の可能性が出てきたので、建て替え計画をストップしている」と語っていたこともある。
 
 ラルズの建て替えが明らかになった以降の6月、この店舗から1㌔も離れていない下手稲通沿いにマックスバリュ北海道が土地を取得した。グリーンハウザー札幌支店のあった場所で他の食品スーパーも注目していた広大なスペース。敷地面積は約9600㎡。同社は、ここに床面積約3300㎡の店舗を建設するとしているが、具体的には明らかになっていない。
 
 フレッティ琴似店の建て替えが中断している背景には、マックスバリュ北海道のこうした動きが影響しているとみられる。業界の中からは、「ラルズは、激安業態として実験を続けている『スーパーアークスエクスプレス』を想定しているのではないか。場合によっては、建て替えをせずにハードディスカウント路線で新店を計画しているマックスバリュに対抗していくことも考えられる」という声も漏れてくる。
 沈黙の先に出てくるものは、何か――静寂は不気味さを漂わせながら越年することになりそうだ。


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