「隣の土地は倍出しても買え」という格言があるが、それを地で行ったのが「白い恋人」で知られる石屋製菓(本社・札幌市西区)。現在、建設中の北広島市の新工場に隣接するダウ化工札幌工場(中央6丁目)の敷地を取得したからだ。新工場敷地の倍にあたる約4万5000㎡を手に入れたメリットは大きい。IMG_5668(写真は、来秋の稼働を目指して建設が進む石屋製菓北広島新工場。右側が今回取得したダウ化工札幌工場)

 石屋製菓が、札幌市西区にある本社と一体の現工場が25年経ち老朽化したことや手狭になったことから新工場建設の用地として北広島市の全日本食品(本社・東京都足立区)所有地約2万2200㎡を7億5000万円で取得したのは2014年8月。元々はHGC(北海道グローサリーチェーン)の配送センターとして利用され、HGCが経営不振で全日食に買収されたのちは遊休資産だった。全日食は建屋を取り壊して更地の状態で石屋製菓に引き渡し、清水・岩田地崎共同企業体による工場建設が始まったのは今年3月。
 
 実はその時、既に隣接するダウ化工札幌工場は操業を停止していた。同工場は、押出発泡ポリスチレン製の住宅断熱材工場として1969年に稼動(当時は北広島町)。高度成長期はフル稼働状態だったが、2008年9月に断熱材需要が減少して生産を停止、工場は一旦閉鎖されていた。
 
 しかし、東日本大震災後の復興需要や省エネ住宅エコポイントの導入で住宅需要が復活、12年11月から再び操業を始めたものの、復興需要も一段落。結局、ダウ化工は生産拠点を本州2ヵ所に集約することになり今年1月末で完全閉鎖された。
 
 石屋製菓がこの工場敷地を取得したのは6月17日。土地は新工場を建設している敷地と合わせると6万7000㎡を超える。将来の自由度は一気に高まる。「隣の土地は倍出しても買え」を文字通り実践したという訳だが、金額は非公表なので相場の倍だったかどうかは不明。
 
 ダウ化工札幌工場の工場建屋と製造設備はまだ残っており、今後取り壊して石屋製菓は新工場建設関係者の駐車場や資材置き場として利用する。新工場の稼働後は、従業員用駐車場として利用するがそれ以外の計画は未定。ちなみに新工場は来年秋に稼働し「白い恋人」と「美冬」を6ラインで生産、現本社工場は一部の生産ラインを残すだけにするという。
 

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