コンサドーレ札幌を運営する北海道フットボールクラブ(HFC)は、J1クラブの条件である債務超過を解消するため1億円の増資を行うことを決めているが、筆頭株主のコンサドーレ札幌サポーターズ持株会はそのうち半分の5000万円(1口1万円で5000口)の増資を引き受けるため既存会員の持ち分増加と新規会員の募集を呼びかけることになった。持株会はコンサドーレ札幌が設立されて以降、これまでに9回の出資を行ってきた。今回は10回目の出資募集になるが、HFC経営陣の経営責任が問われない中での増資に批判と不満が燻っているのも事実。増資が予定通りに進むかどうか予断を許さない状況になっている。(写真は、札幌ドーム内にある北海道フットボールクラブの本社)
 
 HFCの2011年12月期決算は、ダニエルソンの移籍金収入によって純利益は1700万円を計上した。4年ぶりに黒字になったものの、当初計画ではダニエルソンの移籍金なしでも2700万円程度の黒字を予測していた。当初計画通りならダニエルソン移籍が決定したことで、9700万円あまりの債務超過を解消できるはずだった。
 
 しかし、結果的に移籍金を計上しても債務超過幅を縮小できただけで依然として8000万円程度の債務超過状態は継続。HFC経営陣の見通しの甘さを指摘する声は持株会を中心に出ていた。
 
 Jリーグでは2013年度から「クラブライセンス制度」の導入を予定しており、3期連続の純損失計上や債務超過に陥った場合は下位リーグに降格するペナルティが導入される。制度導入まで1年間の猶予があるが、HFCは早期に債務超過状態を解消しておく必要があると判断、3月23日の株主総会で1億円の増資を決定していた。
 
 持株会は、HFC経営陣の経営責任と抜本的な経営改善策が示さることが増資の条件としていたが、クラブライセンス制度導入が迫っていることから増資に応諾、半分の5000万円分を引き受けることにした。
 
 募集期間は5月24日までで、持株会は札幌ドーム、厚別競技場で開催される試合やJR札幌駅前でチラシを配付する。また、札幌市内に配られる4月22日の北海道新聞朝刊に20万部、朝日新聞に10万部の募集チラシも折り込む。
 
 コンサドーレ札幌が前回J1に昇格した08年5月に持株会は1億円、1万口の増資を達成しているが、今回は「5000口でも相当に厳しい」(佐藤良雄持株会理事長)と見ており、札幌市民以外の地方在住者に新たな出資を強力に募る必要があるとしている。
 
 ちなみに現在の持株会株主のうち札幌在住者が7891人(64%)、札幌以外の道内在住者3515人(28・5%)、道外在住者924人(7・5%)。
 
 12年3月末現在のHFCの大株主は、サポーターズ持株会が29・71%を所有する筆頭株主で以下、石水勲氏(12・57%)、石屋製菓(10・06%)、札幌丸井三越 (6・54%)、ニトリホールディングス(6・41%)、札幌市(3・77%)、北海道(3・77%)、サッポロビール(2・01%)、大成建設(1・ 26%)、北海道新聞社(1・26%)となっている。
 
 HFCでは、残り5000万円の増資は既存株主の出資積み増しと新規株主の発掘で対応する。増資の払い込みは5月末。



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