月刊誌「北方ジャーナル」2022年1月号が15日から絶賛発売中となっている。今月のトップは、この秋以降、道東から日高にかけての太平洋沿岸を襲った赤潮被害の現地レポートだ。漁師4代目として今も沖に出る小松茂・釧路町長が海の異変に気付いたのは、さる9月20日のことだった。長年の漁師としての勘で「ただ事ではない」ことを直ぐに察知した。地元のブランドウニが壊滅的な打撃を受けるなど今回の被害はまさに災害級。その影響は今後数年間続く見込みで、再び赤潮が発生する恐れもある。海の異変に気付いた時から小松町長は未曾有の事態にどう向き合ってきたのか。今月号では小松町長のインタビューをはじめ地元の昆布森漁協にも取材し、赤潮被害の生々しい実態をグラビアでお伝えする。(画像は、北方ジャーナル1月号の表紙)

 北海道高等看護学院問題の続報も見逃せない。公立看護師養成校の教員らによるパワーハラスメント問題で、第三者調査結果を受けた北海道は11月下旬に主要な加害者の配置換えに踏み切り、一方で一部の教員については今後も教壇に立たせ続ける意向を示した。当の教員たちが自ら謝罪や反省の弁を述べる動きが伝わらない中、担当課は11月中旬までに保護者らに意向確認を求めていたが、寄せられた要望への回答文には「今しばらくのお時間を」なる文言が並ぶ。12月1日夕、ハラスメントの中心人物は本誌の直撃取材に謝罪の言葉を一切口にすことなく無言を貫き続けた。

 この冬、札幌弁護士会(坂口唯彦会長、登録826人)が着手した先駆的な試みにも注目。全国初の「取り調べ立ち会い支援」と矯正管区と提携した「よりそい弁護士」制度。いずれも刑事弁護にかかわる重要な取り組みで、事件の容疑者や被告人、あるいは務めを終えた元受刑者たちにとって大きな福音となり得るものだ。いわゆる“人質司法”に斬り込み、また再犯防止に力を注ぎ始めた地元弁護士会。将来的に全国各地で定着が望まれる2つの施策は、社会が司法に何を求めているかという問いへの有効な解答となるだろう。

 2030年度末の札幌延伸を目指す北海道新幹線。それに伴う札樽トンネル(小樽―札幌=26.2キロ)の掘削工事で生じる建設残土の内、含まれる重金属が環境基準を超える「要対策土」の受け入れが札幌市手稲区山口地区にある市の一般廃棄物最終処分場(山口処理場)で始まった。19年6月に突如として処分候補地として浮上し、今年の6月下旬には札幌市と鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が同地区での受け入れ協定を締結。市の新幹線推進室は「しっかりとした対策を講じていきたい」と理解を求めるが、地元住民は農産物への風評被害や土壌汚染、健康被害への不安が拭えないとして反発を強めている。手稲山口地区の要対策土受け入れ問題を追った。

 1994年に訪日し、現在人権活動家として中国共産党の犯罪を告発し続けている日本ウイグル連盟会長、トゥール・ムハメット氏の緊急寄稿は、第4弾の今回で最終回。国際社会から非難を受けている新疆ウイグル自治区におけるジェノサイドは、どのような形で始まりどのようにしてエスカレートしていったのか。今回は中国共産党の民族浄化政策の経緯と変節がテーマだ。

 今月は、「ガンダム生みの親」として知られるアニメーション監督・富野由悠季氏にも密着。道立近代美術館で1月まで開催されている自身の企画展で来札した富野監督の会見録をあますところなく収録したほか、企画展の模様をグラビアで紹介。世界でいまだにファンを増やし続けている「ガンダム」というコンテンツを生み出した異才の素顔を迫る。このほか鈴木直道知事や秋元克広札幌市長をはじめサッポロビール北海道本社代表・小野寺哲也氏、ISHIYAグループ代表・石水創氏への「新春インタビュー」もオススメ。本誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル1月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下方にある同誌のバナーをクリック。

※1月号主要コンテンツ
【報道】
■赤潮被害現地報告
【インタビュー】釧路町・小松茂町長に訊く「壊滅的な打撃を受けた昆布森のブランドウニ」
【フォトレポート】昆布森から消えたウニ 「死の海」となった沖の漁場
■告発・絶望の学府〈9〉──江差看護・被害救済なお遠く 謝罪・反省、どこ吹く風の加害教員
■札弁、攻める―全国初、取り調べ立ち会い支援 「よりそい制度」では矯正と連携
■“核のゴミ”レポートPART27──「町民自らが決める」寿都の住民投票が内包する勝ち負けを度外視した価値
■「北海道新幹線・札樽トンネル」建設残土問題 要対策土の受け入れめぐり手稲山口の住民団体が猛反発
■【緊急寄稿】いま、ウイグルの声に耳を〈4〉──中国共産党、民族浄化の経緯と変節

【ニュース】
■共感呼んだ寿都の女性たちの声「最終処分法」の見直しが課題に
■泊原発立地4町村住民連絡協議会の設立総会で市民科学者らが記念講話
■職場の「SOGIハラ」被害訴え 元道職員の裁判で被告側が反論
■強制不妊手術「拷問」と被害男性、旧優生法訴訟、控訴審で初弁論
■復旧や現状維持費は“参考”扱い道には“解体”しかない百年記念塔
■野次排除訴訟原告2人がトーク事件考える集会、苫小牧市で開催へ
■道の委託でSATO行政書士法人が民泊推進セミナーを道内で連続開催

【新春インタビュー】
●北海道知事・鈴木直道氏に訊く「コロナを抑え、“ポストコロナ”を見据えた新時代の道政の実現へ」
●札幌市長・秋元克広氏に訊く「市制施行百周年の大きな節目を起点にコロナを抑え新たに発展」
●サッポロビール北海道本社代表・小野寺哲也氏「商品を通じて地域の魅力を発信したい」
●ISHIYAグループ代表・石水創氏「沢山の出会いから生まれた“共創”で新時代を切り拓く」

【特別企画】
●【会見録】「ガンダム」生みの親 富野由悠季が札幌で語ったこと
●【フォトレポート】道立近代美術館で「富野由悠季の世界」展が開幕

【医療】
●PCIロボット補助システム「コーパス」を導入した札幌心臓血管クリニック

【地域】
●第8回 新千歳空港アニメーション映画祭「コロナ禍でもリアルとリモートで魅力発信」

【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(76)─1枚の絵葉書が当事者の心を開くきっかけになる
●戦争遺産をめぐる旅(77)─銚子空襲で臨時病院となったヤマサ醤油の「公正会館」



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