「北方ジャーナル」の2023年1月号が12月15日から店頭に並んでいる。今月のトップは全国的に耳目を集めている白鳳寺・御霊堂元町の経営破綻事件の独自報道。永代供養を信じて遺骨を預けていた利用者を不安の底に突き落とし、全国にも波紋を呼んだ宗教法人白鳳寺(札幌市東区・太田司代表役員)の経営破綻問題。多額の利用料や管理料を集めていたはずの御霊堂元町の納骨堂事業はなぜ頓挫したのか。取材を進めると、そこに浮かび上がってきたのは太田代表の公私にわたる債務不履行の実態だった──。(画像は北方ジャーナル1月号の表紙)

 同誌が11月14日発売の12月号で報じた鶴雅グループ(本社釧路市阿寒町)の「賭けゴルフ問題」では、大きな進展があった。一連の事実を認めた同社が大西雅之社長名による「弊社協力会主催のゴルフコンペにおける不適切行為の説明とお詫び」と題する文書を公表したのだ。同社はこの文書を同21日付で本誌以外の報道機関2社(北海道新聞釧路支社と釧路新聞社)に送ったとしているが、公表から3週間以上が経過した12月15日現在まで一部のネットメディアを除き、マスコミ各社は何も報じていない。鶴雅側は自社のホームページでも何も告知しておらず、今回のアナウンスについては極めて中途半端な形となっている。今回の「説明とお詫び」の裏にある同社の本音とは何なのか。

 牛乳・乳製品の需要が低迷し、穀物やエネルギーの高騰、個体販売価格の暴落などが常態化してきた北海道の酪農業界は未曾有の危機をどう乗り越えるべきか。国の「畜産クラスター事業」などを使って施設や設備に多額の投資をした“重装備型”の農場ほど厳しい状況に直面している。社会や消費生活の変化を直視できず、今回の危機を一過性の現象と捉えがちな業界のままでいいのか──。同誌の連載「農と食」を担当しているルポライターの滝川康治氏が根室管内中標津町で「土・草・牛の循環」を重視した適正規模のマイペース酪農を続け、今は「酪農適塾」を主宰する三友盛行さんの直言に耳を傾ける。

 今回で21回目の報告となる北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題からも目が離せない。未だ公式に認められていない被害が、少しずつ解明に近づいている。北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、新たな調査が始まった在学生の自殺事案。遺族への聴取を終えた第三者委員らはその後、事件の背景を知る元学生や教員ら6人の関係者を特定、具体的な証言を集め始めた。調査は年を跨いで続き、場合によっては追加聴取の可能性もあるという。最悪の被害とハラスメントとの因果関係は、どこまで認められることになるのか――。

「地元紙・80年めの迷走」と題してお届けしている検証シリーズ。地元ブロック紙・北海道新聞(札幌市中央区、宮口宏夫社長)で、同社労働組合によるアンケート調査の結果が衝撃をもって受け止められている。選択式の問いに「この会社で頑張っていける」と答えた若手社員が、全体の1割にも満たなかったのだ。調査は冬期末手当をめぐる団体交渉をきっかけに行なわれたものだが、寄せられた回答からはこれまでの不祥事対応や幹部人事などへの不満も垣間見える。来たる2023年は道新にとって、さしずめ“会社離れ元年”といえる年になりそうだ。

 そのほか、美瑛町で起きている「観光公害」の実態を追ったレポートや道知事、札幌市長、ホクレン会長、サッポロビール北海道本社代表らが登場する新春インタビューなどもオススメ。本誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル1月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下にある同誌のバナーをクリック。

※1月号主要コンテンツ
【報道】
■白鳳寺・御霊堂元町の“遺骨難民事件”を追う。太田代表は債務不履行の常習犯か
■賭けゴルフ問題で「説明とお詫び」を公表した鶴雅グループの本音と建前
■地元紙・80年めの迷走〈9〉道新・若手アンケートの衝撃「ここで頑張れる」1割届かず
■告発・絶望の学府〈21〉江差看護パワハラ第三者調査、自殺事案で関係者聴取始まる
■首相批判封殺の波紋〈25〉野次判決で道警に「意見」相継ぐ、当事者らは各地で講演、関連本も
■これからの北海道観光を探る【美瑛町編】──「知らない」では済まない観光公害
■仁木町発・巨大風力発電計画に対峙する移住者たち「第二の故郷に風力発電は不要」

【ニュース】
■北海道を再エネ植民地にするな。住民団体と専門家が集まり議論
■「女子野球タウン」の喜茂別町で起きた指導者と町の雇用トラブル
■博物館網走監獄が令和の大改修へ 明治以来の建物群を耐震化で保全
■コーチャンフォーのイメージガールに「元モーニング娘。」の佐藤優樹さん

【緊急インタビュー】
◾️中標津発・三友盛行さんに訊く(前編)──未曾有の危機が到来。北海道から酪農がなくなる日

【新春インタビュー】
◇北海道知事 鈴木直道氏──「道民の安心安全確保」に全力。困難な時にこそ光る北海道に
◇札幌市長 秋元克広 氏──五輪は第三者機関で透明性確保。課題を乗り越え次の百年に布石
◇ホクレン会長 篠原末治 氏──資材高騰対策としても急務な「外に依存しない国消国産経済」
◇サッポロビール北海道本社代表 森本光俊 氏──厳しい商況でも支持されるサッポロ クラシックの潜在力

【経済金融】
●ポストコロナの舵取りを北洋銀行の安田光春頭取に訊く「激動の時代に地域を支える覚悟」

【経済】
●シリーズ・住宅不動産情報③──大手企業の参入続く賃貸住宅事業

【医療】
●札幌ハートセンター・藤田勉理事長に訊く「豊平にもサテライト計画。分院で札幌市内全域をカバー」

【特別マンガ】
●回顧2022──プーチンが世界を掻きまわす(石川寿彦)

【オホーツク】
●選挙戦で4選を決めた網走・水谷洋一市長に訊く「こども家庭庁の一歩先を行く子育て政策を」

【アート】
●第9回目「新千歳空港国際アニメーション映画祭」──短編コンペに過去最多の国と地域が参加

【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(88)──ひきこもりの子どもを持つ父親の葛藤「気づきを得て当事者を支援」
●戦争遺産をめぐる旅(86)──戦艦大和の悲劇と造船技術を伝える「呉市海事歴史科学館」


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