ーー観光協会に加入している各会員の影響はどうですか。
吉田 1月、2月はそれほどの影響はなかったようです。3月はそもそも新規予約が入らない時期なのに既存の予約の4割くらいキャンセルがあったようです。3月半ばから一時閉鎖する宿泊施設も出てきました。コロナの影響もそうですが、雪が例年の半分という状態も心配です。記録的な少雪で、5月のGWにスキー場が閉鎖ということになれば今までのニセコの歴史で初めてのこと。仮にそうなればイメージ的には非常に悪くなってしまう。そちらもとても心配です。
ーー新型コロナ問題がニセコに突きつけた課題は何でしょうか。
吉田 コロナの感染拡大でニセコ特有の問題が出てきたかというと、それはないと思います。ニセコだけの問題ではなく全世界の問題ですから。ともあれ、投資家の人たちはどちらかというと楽天家の人が多いような気がします。常に彼らはポジティブシンキングしますから、日本人はある意味で彼らに学ぶ点があるかもしれません。
ーーインバウンドに頼りすぎていた地域は厳しい状況です。
吉田 ニセコ地域は中国本土からの観光客、スキー客は少ない上に韓国からもそんなに多くはなかった。そういう意味ではインバウンドへの傾注は他の地域よりも少なかったので、極端な悲壮感が漂っているわけではないと思います。富裕層には世界的なネットワークがあるので、ニセコには世界の情報がどんどん入ってきます。日本の中では東京よりも早く世界の情報が伝わる地域かもしれません。新型コロナウイルスに関する情報も早くから富裕層たちには集まっていたようです。
ーーニセコへの投資の状況はどうでしょうか。
吉田 ニセコへの投資は13年くらいからすごく活発になってそれが継続しています。ニセコは売りも買いも外国人で、日本人がプレーヤーとしていなくなってしまいました。資本主義の自然な流れと言えばそれまでですが、地元生まれとしては複雑な思いがあります。全国的に見てもこのような地域は他にないでしょう。今後もこの流れで進んでいくことは必然なので、外国人との共生社会を積極的に推進していかなければなりません。もう後戻りはできない。彼らの仕事がしやすいような環境整備をどう整えていくかが日本人の役割なのではないでしょうか。そういう協力体制を構築していくことが地域経済の維持を考える上でとても重要だと思います。
ーー町民と外国人との共生、一体感は以前よりかなり強くなったと思います。
吉田 徐々にできています。倶知安町では外国人と日本人の夫婦も多くて、学校にはハーフの子どもがたくさん通っています。次の世代が育っていますから彼らへのバトンタッチをうまくしていかないといけない。ハーフの子どもたちが増えれば増えるほど、地域の潜在的な強さも伴ってくる面もあるのではないでしょうか。
ーーありがとうございました。