【テーマインタビュー】ニセコは新型コロナをどう乗り越える~倶知安観光協会会長吉田聡さん

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 新型コロナウイルスの影響は全国の観光地を震撼させている。北海道ニセコも例外ではなくホテルやレストランなどは開店休業状態が続く。世界のスキーリゾートに向けて外国資本の投資が続くニセコはこの危機をどう乗り越えるのかーー現地の声を聞いた。2回目は、一般社団法人倶知安観光協会会長の吉田聡さん(52、司法書士法人ミナカムイ代表)。(写真は、吉田聡さん)

 吉田さんは虻田郡倶知安町出身で函館ラサール高校、中央大学法学部卒。92年に司法書士試験に合格し93年に札幌で開業した。得意だった英語の勉強のため99年から1年間カナダ・バンクーバーに留学、帰国した2000年に故郷、倶知安で司法書士事務所を開設した。

 吉田氏が地元に戻った頃は、オーストラリア人でニセコ観光の先駆者とも言われるロス・フィンドレー氏が尻別川のラフティング会社を軌道に乗せ、ロス氏の友人、ピーター・マーフィー氏がスキージャパンを設立、パウダースノーをオーストラリアに発信してスキー客を呼び込むなどしていた時期。吉田氏は英語力を生かして外国人向けの不動産売買や会社設立にも携わり、ニセコの変貌を裏で支えてきた人物でもある。16年5月から倶知安観光協会会長を務める。吉田さんは現下の状況をどう捉え、どんなニセコの未来を描いているのだろうか。

 ーーニセコは外国人投資家たちがリゾートとしての厚みを形づくってきました。新型コロナウイルスの感染拡大でニセコの不動産はどんな影響が出るでしょう。

 吉田 2008年のリーマンショックの時も11年の東日本大震災の時もそうでしたが、ニセコの不動産を所有している外国人の投資家たちは焦って不動産を売るようなことはありませんでした。新型コロナによる影響が色濃く出ている現在も外国人投資家は不動産を早期に売るようなことはしないと思います。必ず感染拡大は収束して市況は回復するから、それまで待っていようという考えでしょう。

 ニセコのレストランやホテル、コンドミニアムを所有している外国人たちは富裕層なので彼らは耐え忍ぶだけの蓄財があります。もともと夏の稼ぎがなくても冬だけで稼いで1年間暮らすような人たちばかりですから。リーマンショックや東日本大震災では、落ち着いてから観光客がニセコに戻ってくるまでに3ヵ月から6ヵ月かかっています。仮に今回、4月~5月に終息宣言が出たとしても年度内は観光客が戻ってこないのではないか。南半球がこれから寒くなっていくので、新型コロナの感染が増える可能性もあります。オーストラリア、ニュージーランドの入り込みは外国人の3割を占めていますから、その人たちが出国できなかったり日本が入国制限をしたりする可能性もあります。そうなると2シーズンは影響が続くのではないか。希望的なことを言えば2シーズンなら何とか耐え忍べるのではないかと思います。

 ーーニセコでは20数年前のバブル崩壊の影響はどうだったのでしょうか。

 吉田 バブル崩壊は1995年頃だと思いますが、私が倶知安に戻ったのは2000年。バブル崩壊の影響は直接的にはよく分かりません。ただ、00年の頃はスキー場や宿泊施設はかなり老朽化していました。当時は日本人のオーナーしかいなかった。自分たちの子どもには家業は継がせたくないとか、売れないからやめられないなどネガティブな話しか聞こえてこなかった時代です。03~04年頃からオーストラリア人がニセコの不動産を購入するようになりました。それから息を吹き返してきて、リーマンショックは1年で乗り切り、東日本大震災も1年半くらいで乗り切ってきました。

 スキーフリークがニセコには多く来ていて、現在の入り込みは外国人と日本人で7対3くらい。外国人のうち3割がオーストラリアやニュージーランドで他は香港、シンガポール、中国など。中国本土からの入り込みが少ないのがニセコの特徴と言えるかもしれません。

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