カフェ「MORIHICO.」を展開するアトリエ・モリヒコ(札幌市白石区)の市川草介代表取締役・アートディレクターが処女作『カフェがなくなったら・・・』を上梓した。コーヒービジネスに関心のある人や起業を目指す若者に先輩起業家として熱いエールを贈るビジネス書だ。市川氏に本を上梓した理由や、どんな人に読んでもらいたいかなど処女作に込めた思いを語ってもらった。
(写真は、著者の市川草介氏と初出版した『カフェがなくなったら…』)
「私は本から多大な影響を受けてきたので本に対して強い思い入れがある。浜野安宏氏の『若者株式会社~はたらきかたの革命』(1976年刊)などを中学生の時に読んで起業しようと思った。本が人生を変えてくれたし、本との出合いがあったから今の仕事がある。本にはそういう力がある。それを信じているので、いつかは本を出したいと思っていた」
「読者に遠慮したり迎合したりする本ではなく、MORIHICO.創業からの23年間とそれ以前のヒストリーを含めて私の半生を顧みながら本音で語った中身だ。MORIHICO.を知っている人はもちろん、知らない人にも読んでもらいたい」
「本の帯には『ぼくがスタバが大嫌いな理由』と話題性のあるものにした。でも、読んでもらえればスターバックスを批判している内容ではないことがわかるはずだ。
私は、日本人の欧米コンプレックスの払拭ということを自分や会社のミッションの一つにしている。欧米から入ってきたものを何の批判精神もなく受け入れてきたのが日本。しかし今、その国独自のカルチャーを世界の人たちが求めている。そんな時代なのに、どこでも見られるような景色に日本列島が改造されていくことを非常に虚しく感じていた」
「スターバックスは、風前の灯の日本のコーヒーカルチャーをリスペクトしてハンドドリップもやりだした。日本の純喫茶はずっとそれをやっていたのに、日本人は純喫茶をそれほど気にも留めずスターバックスなど欧米から来たものに関心を寄せる」
「欧米から来た彼らは彼らで、日本について『コーヒーをこんなに丁寧に取り扱っているところはない』と評価している。私たち自身が自分たちの価値を知らずに、よそから来たものにだけになびくのはまさに田舎者ではないか。私たちが誇りを持てるようなことを私たちでつくろうじゃないか。この本は、そのことを『私がやる』という宣誓でもある」
「この本を読んだ人は、MORIHICO.が決して順風満帆ではなかったと感じるだろう。孤軍奮闘して這い上がってきたのが実態だ。MORIHICO.はないない尽くしで始めた事業。高い地代が払えないから路地裏で始めたのだが、悔し紛れに立てた仮説が『路地裏にこそ商売の真実がある』ということだった。今、曲がりなりにも潰れていないから、その仮説も満更じゃなかったのかなと思っている」