ラルズ・松尾直人新社長インタビュー「数字で語る社風築く」「ロピアとこう戦う」「横山会長の存在」

流通


 ーー社長就任早々に大きな舞台が待ち受けている。

 松尾 ロピアさんと戦うことを、従業員たち楽しみにしています。久しぶりの価格戦争だと。コロナ禍では本当の意味での競争はなかったですから。

 ーー価格競争によってスーパー各社の優劣が鮮明になっていきます。

 松尾 スーパー業界は、10年単位で見ると、かなりシェアが変わっています。これからも変わっていくでしょう。やはり、流通業は、アメリカの後を追いかけていると思う。ドラッグストアが力を持ち、百貨店が淘汰され、GMS(総合スーパー)が淘汰される。まさしく、後追いしている。かつては、アメリカの30年前を追いかけていましたが、今は10年前を追いかけている。

 ーー「2024年問題」と言われる物流対策は。

 松尾 物流各社は、運賃を値上げしていますが、当社は、物流委託先と協力して無駄を省くことで、総額のコストは上げずに対応できています。物流会社などと、本音をぶつけ合って、できることをやっていこうと互いに実行しているからです。店舗には、マテハンの回収や整理整頓をするように指示しています。多少時間はかかりますが、私たちがその対応をするのは、考えてみれば当たり前のこと。搬入の際、物流会社にバックヤードの奥まで運ぶことを要請することなどは、一切禁止しています。

 ーー今までの慣習を本来あるべき姿に戻すことで、改善されると。

 松尾 スーパーは、お客さまに近い営業部門の立場が強くて、物流部門は、営業部門が言ったことを黙ってやればいい、という空気がありました。そこを改善するだけでも、仕組みや新たな機械も入れなくても、一定程度は対応できます。

 ーー松尾社長が考える物流改革は何合目まで来ていますか。

 松尾 ラルズと東光ストアの物流統合は、ドライ系はできているので、後は生鮮を統一すれば8合目というところでしょうか。ただ、生鮮については、手がついていない。今後、3年間で実行しなければならない。

 ーーネットスーパーについては。

 松尾 「アークスオンラインショップ」では、ギフトECを2024年10月から仕組みとして導入しました。「アークスオンラインショップ」は、前年対比140%で伸びていて、今後、ギフトECも入るので、さらに伸びていくでしょう。「アマゾンネットスーパーアークス」は、2024年6月にプライム会員以外の会員も利用できるようになりました。こちらも順調に売り上げを伸ばしています。さらなる規模拡大のため、配送時間や配送地域についてもアマゾンと協議を続けています。

 ーーネットスーパーはまだまだ伸びると。

 松尾 伸びます。何年かかるかは読めませんが、年間100億円まではいくでしょう。「アークスオンラインショップ」では、ニセコに宿泊する外国人向けにも配達を始めていますが、ホテルが仕入れで使うケースが増えています。ラルズは、朝に注文すると夕方には配達しますし、扱う品数も豊富。現在、ニセコの4、5軒のホテルが仕入れに使ってくれていますが、このようにBtoBを開拓すれば、もっと売り上げを増やせると思います。

 ーーところで、趣味は何でしょうか。

 松尾 BBQやガーデニング、DIYです。ピザ窯をつくったこともあります。いずれも、暫くは手をつけられません(笑)。

 ーー最後にあらためてお聞きします。横山清・アークス会長は、松尾社長にとってどういう存在ですか。

 松尾 親父みたいな存在です、怖い存在ですが、怖いくらいがちょうど良いと思っています。

 ーー見習うべき点は。

 松尾 全てです。

 ーー真摯にお答えいただき、ありがとうございました。

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