安売りのスーパーマーケット「ロピア」が今夏にも札幌にやってくると、市民やメディア、流通業界がやや興奮状態にある。新しもの好きの札幌市民は、一度は「ロピア」に行くとみる食品卸関係者もいるが、スーパー業界にとって一番の関心事は、「ロピア」が出店する屯田、琴似地区のDS(ディスカウントストア)沸騰だ。(写真は、2024年8月に「ロピア」が入る予定の「イトーヨーカドー屯田店」)

「ロピア」が進出する「イトーヨーカドー屯田店」(札幌市北区)がある屯田地区は、今もDS店舗が多い。太平の「MEGAドン・キホーテ篠路店」、屯田の「スーパーセンタートライアル屯田店」と「業務スーパー屯田店」といったDSがしのぎを削る。そんな中でも、「北海市場屯田店」、「ホクレンショップFoodFarm屯田8条店」といった品質で勝負するスーパーマーケット(SM)も店舗を構える。

 今は、「イトーヨーカドー」なのでDSとSMは共存しているが、「ロピア」が出れば共存は崩れる。「特売価格を毎日続けるようなMD(販売政策)がロピアの特徴」(食品卸関係者)で、屯田地区のDS沸騰は間違いない。「DS同士の戦いは激化して、潰し合い状態になるかもしれない。また、SMは今まで以上に品質やサービスの強化をして、ブランド力を高めなければのみ込まれてしまうだろう」(スーパー関係者)。数年後には、隣接する石狩市緑苑台に新たな住宅地ができ、ファミリー層の買い物客が増えると見込まれている。そうなれば、ますますDSは沸騰、その影響は、市内全域におよぶ可能性もある。

「イトーヨーカドー琴似店」(札幌市西区)の後継も「ロピア」だ。こちらは来年1月に切り替わる予定だが、近くには「トライアルスマート琴似店」が、今年1月に居抜きで営業を始めたばかり。「ロピア」VS.「トライアル」の戦いは、周辺の「イオン」、「マックスバリュ」に飛び火して、「マックスバリュ」の「ザ・ビッグ」転換を促すかもしれない。「新規参入はいつの時代にもある。水鳥の羽音に驚かず、正しく手を打ち続けることが、勝つ店づくりに繋がる」(スーパー社長)。スーパー各社は、DS沸騰に身構える。


100人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。