アークス3C体制でトップ陣刷新、横山会長CEO、猫宮社長COO、古川副会長CFO

流通

 アークス(本社・札幌市中央区)は2024年4月15日、横山清社長(88)が代表権のある会長に、猫宮一久取締役(ラルズ社長、63)が代表取締役社長に、古川公一副社長(67)が副会長に就任するトップ人事を発表した。同年5月28日に開催する同社株主総会後の取締役会で、正式に就任する。ラルズ社長には、同年5月16日付で同社の松尾直人専務(61)が昇格する。(写真は、アークス会長に就く横山氏と社長に就く猫宮氏)

 横山会長はCEO(最高経営責任者)、猫宮社長はCOO(最高執行責任者)、古川氏はCFO(最高財務責任者)に就き、「3C体制で経営判断のスピードを上げる」(横山氏)。イトーヨーカドーの撤退やイオン北海道(本社・札幌市白石区)による西友9店舗の買収など、北海道の流通業界が大きな変化を起こし始めている中、横山氏がM&Aなど環境変化対応、猫宮氏が各事業会社であるスーパーの経営力強化、古川氏は金融、財務面の強化拡充の役割分担で、3角形を構築。「私に、もしものことがあっても、フラットな2人体制でやっていけるようにした」(横山氏)。

 以下、同日に札幌市中央区の札幌パークホテルで行われた会見の要旨を抜粋、構成して掲載する。
 横山次期会長CEO
「社長を辞めてゆっくりと、という気持ちはない。食品スーパーマーケットは難しい商売で、なかなか儲からない。1961年11月に、前身のダイマルスーパーが75坪のセルフサービスの食品スーパーを出店した。そこに、1年間出向で行けと言われてから、今年で足掛け64年目になる。私は創業者、資本家ではなくスタートしたが、実質的には創業者と言ってもいい」

「会長になっても、当然、小売業からは離れない。できることなら、最後は1ヵ月でも良いので店長になりたいと思っている。小売業には生きている限り関わっていきたい。いろんな方とお会いでき、生活の実態を肌で感じられる仕事がスーパーマーケットだ」

「大手企業や異業種が、食品スーパーに垣根を超えて乗り込んでくる。これに継続して対応するためには、足らざるものをどう補っていくかだ。これまでは時速30㎞で走っていたものを、50㎞、60㎞で走るために取ったのが、この3C体制だ」

 猫宮次期社長COO
「営業畑出身でラルズ社長を8年間務めた。社長としてラルズがさらに拡大できるよう、基盤をつくり上げた。後任の松尾専務はさら強いラルズをつくってくれると確信しており、アークス社長として支えていきたい。流通環境は、激変の時を迎えている。アークスグループは、さまざまな困難をバネに横山社長を中心に拡大してきた。体制刷新を受け、さらに環境変化に対応できるよう、横山会長の身近に構えて、グループ経営を学びながらスピードを上げて強いスーパーマーケットグループをつくっていきたい」

「経済状況、競合体制は困難を極めている。それに加えて物価上昇、人手不足など、課題は山積み。八ヶ岳連峰経営を中心に、アークスの経営理念である基本を徹底し、PDCAを早く回すことを念頭に置いて、強いアークスグループをつくっていきたい」

「スーパーマーケットは現場が一番だと考えている。現場、店舗の声を吸い上げて、議論をしてしっかりした体制をつくる。アークスグループの各店舗に来ていただけるお客さまに、『この店があって本当に良かった』と言ってもらえるような体制をつくっていきたい。アークスは横山社長が立ち上げ、拡大してきた企業。その後ということで、非常に大役だが、グループ全従業員3万人強の力を借りて、しっかりと経営していきたい」

 古川次期副会長CFO
「前職の銀行(北海道銀行)から、ラルズに出向して昨年9月で満30年になり、31年目に入っている。マインド&アグリーメントという基本的な考えに基づいて、横山社長の近くで地域スーパーを中心にグループを形成。個別最適とトータルのシナジーをどうつくり上げていくか、擦り合わせや説得の役回りをしてきた」

「副社長を退き、副会長になってゆっくりするということではなく、現職を離れるわけではない。全国的に業界再編などさまざまな動きが出ており、従来以上に業界を取り巻く環境は激変している。そういった中で、CFOとして財務経理、税務はもちろん、資本政策、配当政策、事業戦略を発信していくIR、SRのほか、企業統合の戦略面を中心にCEO、COOを支える立場として、新たな気持ちでスタートを切っていきたい。重責を担っていくということで、燃えている」

 松尾次期ラルズ社長
「ラルズの営業を中心に経験してきた。3年前のアークスオンラインショップの立ち上げや昨年12月のアマゾンとの提携によるアマゾンネットスーパーアークスの立ち上げに関わり、直近では、物流の2024問題でも対策を打ってきた」

「社長就任後は、営業のみならず、管理面の舵取りも必要とされてくる。これまで以上に幅広く、社内外から情報を集め、経営判断に生かしていきたい。ラルズの基本理念であるお客さま第一主義を軸に、変化の早い時代に対応するため、ネットスーパー、アプリ、デジタルマーケティングなどを加えて推進していきたい。諸先輩方が築き上げたラルズを、よりお客さまに愛される会社、より強い会社にしていきたい。今回の社長拝命は身に余る大役ではあるが、横山社長、猫宮社長の指導を仰ぎながら、ラルズ自慢の従業員のチームワークを生かして重責を果たしていきたい」

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