道北アークス六車亮社長インタビュー「地方スーパー生き残りのカギと買い物困難地域の切り札『ダ・マルシェ』」

流通

 ――「ダ・マルシェ」は、大都市圏よりも地方圏向きの業態ですか。

 六車 前の話とだぶりますが、センターがあれば大都市圏でも出店は可能です。ただ競合には弱い面がある。というのも、「ダ・マルシェ」は価格競争を一切しない。例えば、札幌市内で出店するとしたら、中心部の狭いエリア内なら可能でしょう。周りにスーパーマーケットがあるようなところだと、無理です。いずれにしても、「ダ・マルシェ」の基本的な出店戦略は、店のないところに出店すること。現在の「ダ・マルシェ」は、平均すれば坪千円の地代の場所に出店しています。地代だけで月15万円だとすると、アパート代と同じような賃料です。坪1万円をの賃料のエリアでは、出店しても絶対に合わないでしょう。「ダ・マルシェ」の出店は限定的にならざるを得ない。

「ダ・マルシェ」の業態を始める前に、買い物困難な地域でネットスーパーを展開することを考えました。でも、いくら計算しても合わない。ネットスーパーは、大消費地向けの業態だと思う。最低でも100万世帯ぐらいないと、ペイしないのではないか。主要業態ではなくて、あくまで隙間の業態だからです。いくら計算しても合わないので、社内では「検討すらしなくて良い」と言っています。

 ――小型店展開のカギを握るのは、何だと考えますか。

 六車 経験から言うと、母子店方式はだめだと思う。母子店方式とは、大型店で作った惣菜デリカ商品を近くの小型店に運ぶ方式です。そうすると、商品作りで子店を優先してしまうため、母店の競争力が弱ります。営業時間や従業員の出勤時間も一緒だったら、母子店方式は相乗効果どころか、相殺効果が出てしまいます。

 ――今後、新たに挑戦したいことはありますか。

 六車 社内では「やらない」と公言していますが、個人的にはネットスーパーをやってみたい。ただ、旭川や道北など、当社の既存エリアではやりません。やるとすれば、札幌か本州でやってみたい。現地にセンターや配送拠点などをつくって、そこで展開したい。

 ――システムは、自前で対応するのですか。

 六車 ラルズが実績を積んでいる「アークスオンラインショップ」のシステムを利用したい。現在、東北のグループ企業、ベルジョイス(本社・盛岡市)がラルズのシステムでネットスーパーを手掛けています。盛岡市の人口は、旭川市に近いですが、盛岡市の周りには、花巻市や北上市のように人口10万人内外のマチが点在しており商圏人口が多い。そこが違いますが、私たちの参考になると考えて注視しています。

 ――2024年問題が迫る物流面の課題はありますか。

 六車 当社については、委託している物流会社にほぼ残業なしで対応してもらっています。先ほど言ったように、配送時間1時間半以内の店しかありませんから、物流会社に負担はかけていないと認識しています。アークスグループの各社は、事業範囲が地域ごとになっているので、そんなに深刻な状況ではないのではないかと思います。(終わり)

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