――グレード別にアイテム数を増やすということでしょうか。

 六車 そうではなく、新しいカテゴリーを増やさないといけない。同じ種類で、大中小とか、アイテムを増やしても意味がない。例えば生鮮の魚で言えば、当社で伸びているのは、ダマック(『DaMC』=ドーホクアークス・マザー・センターの略。水産・食肉商品を加工するプロセスセンターとグローサリー商品を配送するトランスファーセンターの機能を持たせた施設)を使った、鮭の切り身や開きを真空冷凍した商品。真空冷凍しているため、販売期間が長く、お客さまも保存しておくことができます。
 普通に、生で売っている魚の切り身などは、家庭で使って余ったものを冷凍しなければならない。その手間を省いて、最初から冷凍して、いつでも食べられるような状態にしておく。そういった商品が伸びていますが、揃えているスーパーはまだ少ない。当社には、真空冷凍する機械とマイナス60度の冷凍庫があるので、対応できますが、それがないとなかなか難しいでしょう。

 ――そういう分野でお客のニーズが高まっているわけですね。

 六車 冷凍食品が伸びていますが、真空冷凍の切り身もその延長です。今日食べるもの、明日食べるものだけでは、客単価はなかなか上がらない。けれど、真空冷凍の魚のように、ストックしておく商品の購入を促せば、食生活は豊かになりますし、客単価も上がります。そのような商品を作っていかなければならない。ダマックでは、毎月、新しい商品を開発しています。水産品と精肉品は、繰り返し、何度もトライしています。もちろん、そうした開発商品でも売れないものもあります。

 ――惣菜関係もダマックで作っているのですか。

 六車 惣菜関係は、デリカセンターで作っていますが、大型店向けにはパック化しないで、ブロックのような大きな塊で配送しています。例えばポテトサラダは、小さい店舗向けには、デリカセンターで全部パック化して、店舗では並べるだけにしていますが、大型店については、大きな2kg程度の袋詰めで配送して、店舗でお客さまの動向を見ながらパック化するようにしています。

 ――惣菜関係の新商品は、どのようなものがありますか。

 六車 惣菜関係の新商品は、ほぼ毎月出しています。もちろん、期待したほど売れない商品もたくさんあります。今後も、生鮮と惣菜・デリカの構成比を高めていきますが、そのためには、さきほど言ったように、真空冷凍の鮭の切り身のように、ひと手間を加えた商品にしなければならない。

 ――まだまだ創意工夫によって、伸ばしていける分野があると。

 六車 精肉については、地元の飲食店とのコラボを始めてから5、6年になります。旭川には、おいしい焼き肉屋とか焼鳥屋がたくさんあります。そうした店舗とコラボして、そこの商品と同じ味付けにして、店頭で販売しています。コロナに入ってから、コラボをより強化しました。なにせ、コロナでそのお店には食べに行けなくなったので、店頭でお客さまに同様の商品を提供することによって、飲食店の助けにもなるだろうと始めました。今は少しずつ定着しています。

 精肉商品は、だんだんとグロサリー化してきて、差別化が難しくなっています。味付けには、同じメーカーのたれなど調味料を使うので、どうしても同じ味になって差別化できない。それでは、グロサリーが増えたのと同じになってしまう。そのため、コロナになる前から、こうした取り組みを始めたのです。コラボには時間がかかりますが、当社だけの商品、いわばPBに近い。期間を決めながら、今月はこの飲食店、来月はあの飲食店と変化をつけてコラボしています。

 ――地域密着が一つキーワードになっていますね。青果関係はどうでしょう。

 六車 青果は差別化しにくいですが、特にこれからの時期では、葉物系の軟弱野菜で産直の取り組みを強化します。その一環として、東川町の矢澤農園から毎朝、採れたての野菜を直送してもらっています。レタスならレタスを大量に店舗に並べます。そこの農園は大規模で、従業員だけでも100人近くいます。青果は、夏の時期、ほぼ産直対応になっています。

 ――ところで、今後の出店計画はどうですか。

 六車 旭川市内に出店候補地はありますが、なかなか条件に合うところがない。札幌と同じで、旭川も中心部はスーパーが足りない状態になっています。旭川の中心部は、イオン北海道さんの駅前店舗しかありません。一方で、高齢者世帯の中心部回帰が進んでいます。病院が近いうえ、冬に雪ハネをしなくてもいいという理由からでしょう。当社としては、旭川中心部に大型店を出店したいと考えています。候補地はありますが、地権者が入り組んでおり、なかなか進まない。

 郊外の店舗は、既存店の移転新築で対応したい。今年度は、小型店の「ダ・マルシェ」以外に新店の予定はありません。リニューアルは大型店で実施しますが、スケジュールはまだ決まっていません。売り場の手直しも含めて、細かな改装は、ほぼ毎月行っています。

 ――改装のポイントは何ですか。

 六車 中大型店の冷ケースの更新です。リーチインタイプにすると、電気代は半分以下になります。昨年と一昨年で、全店舗の7割で更新を終えました。一気に行った方が良いので、残りの更新を急ぎます。



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