――「平岸店」は、近くの「マックスバリュ南平岸店」建て替え休業中の影響もあると思います。秋に「イオン南平岸店」が登場することになりますが、そこからが本当の闘いになります。
若園 もちろん影響を受けていて、2年目に入っても業績は堅調に推移しています。これに甘んじることなく、もっと隙間を埋めて、商圏のシェアアップに努めなければなりません。もう1品買っていただけるようにして、他の大型店と変わらない買い上げ点数を確保しなければなりません。新しいことに、当然挑戦しなければならないですが、まずは商品を通じてしっかりお客さまを引き付けることです。接客レベルをどうやって高めていくかも課題です。こんな厳しい競合の中を、わざわざ来ていただくわけですから、お客さまにありがたいという気持ちに当然ならなければおかしい。
ありがたいと思ったら、「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」の言葉が自然に出ると思います。店長から高校生のアルバイトまで、気持ちが一つなってくれれば良いなと。それにプラスして商品の信用を得られれば、十分に生き残っていけると思います。
――今後の出店政策は。
若園 千歳市のフランスベット跡には出店を決めました。帯広では、いわゆるドミナントはある程度形成されていますし、いい意味で福原さんとの棲み分けもできています。今は、札幌方面に投資を集中させてきていますから、物件が出てきた時に検討することになります。
旭川については、あと1、2店舗は必要と考えています。旭川ではこの10年来で23店舗ほど閉店したのでドミナントが崩れています。例えば神居、神楽、忠和方面は空白地帯になってしまいました。土地の用途地域の関係もあって、計画通りの店舗になるかはともかく、あの辺りで車商圏の物件を狙いたい。
――道内のイトーヨーカドーの閉店も囁かれています。仮に閉店となれば、ダイイチは引き受けるのですか。
若園 既存のヨーカドー店舗については、地主さんや大家さんとの権利関係の問題などがあります。ただヨーカ堂は、地方都市に投資はしないと明言して、既存店をスクラップすることも明らかにしていますが、それがどの店舗なのかについては、はっきりしていないですが、地方の店舗は、閉鎖する可能性は強いと感じています。打診が来たら当然、最大限検討はさせていただく。無理なものは無理と申し上げますし、条件次第によってはということであれば、検討の余地はあるのかなと。
ただ、その前提として、自分たちの力以上のことはできないということがあります。引き受けることによって、当社の屋台骨がおかしくなっては困ります。それは、ブレることなく対応したい。一方で地域貢献の責任をヨーカ堂も感じていると思います。そういう観点からも、ヨーカ堂は責任を持って対応するでしょう。その中で肩代わりを求められた時は、誠意をもって対応しようと思います。社会に及ぼす影響と同時に、働く従業員の人たちのことをまず考えなければならない。ヨーカ堂の従業員やパートナーさんたちは非常に優秀ですから、そういう優秀な人たちと一緒に働く機会を得られれば、それはそれで当社にとっても良い意味で相乗効果があるのかなと思います。
――先ほどのススキノ店では、以前のヨーカドーに勤めていた人たちを雇用するのですか。
若園 できれば、来てもらいたいと思っています。経済条件とか雇用条件はそれぞれ違うでしょうから、当社の方針を提示しながら、提携企業同士でもあることですから、戻ってもらいたいという思いはあります。そういう方々と一緒に働くことによって、お互いに高め合えると思います。
――ヨーカ堂は30%の資本を持っています。ダイイチの株を持ち続けるのでしょうか。
若園 ヨーカ堂は、構造改革を進め、スリム化を図りながら収益体質を強化、復活を図ることになっています。その中で、当社との提携の意味があるのか、ないのかということですが、お互いに今現在は、意味があると思っています。特に北海道におけるヨーカ堂グループの位置付けとして、売上高460億円ですが、「セブンプレミアム」の取り扱いをしており、それなりの貢献もしています。少なくとも北海道に「ヨーカドー」が存続する限りにおいて、当社との提携は無意味ではないと思います。
2013年に資本業務提携を発表した時に、当時のヨーカ堂の亀井淳社長がダイイチと組むことによって、食の宝庫の帯広・十勝ならびに北海道の優れた産物を全国、あるいは世界に発信したいという、非常に大きな構想を発表されました。
それが、どこまでできているかといえば、実はまだまだできていないのが現状です。帯広のヨーカドーでは、当社の販促と連動しながら、共同で販促を打つなどしていますが、北海道・十勝の物産商品の開発を共にやろうとグループを挙げての取り組みがスタートしています。この秋ぐらいには、一つの形ができるのではないか。フェアを組めると思います。
――それは、ヨーカ堂の道外の店舗で北海道フェアを行うということでしょうか。
若園 まずは、北海道内の店舗で実施すると思います。「セブンーイレブン」も地域商品の開発を積極化していますから、一緒に開発できればなと思っています。