「卸売スーパー」津司達也新社長インタビュー、「メーカー・卸との関係を強化、商品調達力を高める」

流通

 ーー卸売スーパーの特徴は、商品の豊富さと低価格だと思います。
 
 津司 商品のSKU(在庫保管単位)は、他のスーパーと比べてかなり少ないですよ。ただ、他のスーパーにはないような乾物などを手広く扱ったり、他のスーパーが縮めがちな商品を豊富に扱ったりしています。でも、その代わりに、他のスーパーが力を入れて品揃えしている酒などは品数を縮めたりしています。でも、商品の種類が豊富にあるように見えているのは、必要なものが揃っているからです。雑貨などは置いていませんが、お客さまから買えるものが豊富にあると思ってもらえているのが当社の強みです。
 父からは、「お前は何を売りたいのかが、分からない売り場をつくる」とよく言われました。「雑木林のような売り場」だと。雑木林というのは、要は何を主張しているのか分からないということ。棚割でも父に怒られていました。「わざとらしくてもいいからスペースを割け」と。商品をお客さまに見せるということは、そういうことだということが少し分かってきました。
 
 ーースーパー同士の価格競争が激しくなっています。
 
 津司 他のスーパーの価格には注意していますが、あまり意識し過ぎてもしょうがない。この価格がちょうど良いという値ごろ感はどの商品にもあります。相場的にはそれぐらいだよねっていう買い物客が持つイメージです。そこに対して、少し安くすることを基本にしていますが、大手スーパーが得意な商品もたくさんあります。当社は、生鮮に関しては、他のスーパーよりも少しでも安くできないかなと常に考えています。ワンデーの価格で負けたら、それはしょうがない。向こうも無理してやっているので、4勝1敗でもいいと思っています。(価格で)負けていても、勝っている商品が多ければ、お客さまから見て、「来て良かったな」と思ってもらえるかもしれないからです。ただ、父からは「安く売り過ぎてもだめだ」と言われます。
 
 ーーディスカウントストアではない、と。

 津司 ディスカウントストアではありません。ディスカウントストアは利益を削ってでも安く売ろうとしますが、当社は赤字を出しても安くすることはしていません。
 
 ーー良い品質の商品をより安くということですか。

 津司 そうです。例えば食品関係で言えば、きちんとしたカテゴリーの一番、二番のメーカーの商品をリーズナブルに売りたいのであって、投げ品を安く売りたいわけではありません。以前は、一番手、二番手のメーカーと取引ができなかったので、安さを打ち出すため、マイナーだけど遜色のない商品をアピールしてきました。今は、一番手、二番手のメーカーとの関係が構築できるようになってきました。それでも、まだ当社に乗ってくれないメーカーもありますが、当社の姿勢を理解してくれるメーカーは増えてきました。お客さまが欲しいのは、PB(プライベートブランド)商品よりも、やはりNB(ナショナルブランド)商品なのではないでしょうか。メーカーとの関係強化は、不可決です。

 ーー生鮮とグロサリーなどの比率はどんなバランスですか。

 津司 青果、野菜、果物、鮮魚、肉など加工品も含めて生鮮関係は50%を超えています。ドライ関係だけで、およそ20%、飲料などが残り30%です。デリカ商品は、手稲店と新札幌店にしか置いていません。ただ、今後は、他の店舗にも必要だと思います。現状は、他の店舗にスペースがありませんし、人もいないので対応していません。今後、新店を出すとすればデリカも置きますが、商売のメインとしてではなく、品揃えとして必要だという認識です。

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