山尾啓一社長(60)の急逝に伴い、11月12日に新社長に就任したマックスバリュ北海道の出戸信成社長(47)は、今後マックスバリュ店舗の再強化と格安スーパー「ザ・ビッグ」の地域密着化を積極的に進めていく考えを明らかにした。現在、中期三ヵ年計画を見直しており、近い将来には年商1000億円を達成したいとしている。就任1ヵ月を迎えた12日、出戸社長が北海道リアルEconomyのインタビューで明らかにした。詳細は以下の通り。(写真は、出戸信成社長)
 

 ――新社長としてまず取り組むことは。
 
 出戸 2010年度から始まった中期三か年計画を見直すことから始めている。当初計画からずれている部分もあるので、ここでもう一度しっかりと目標を定める。
 
 ――骨子となっているのは何か。
 
 出戸 ポイントは2点だ。まず「マックスバリュ」店舗の再強化。2年半前に出店した苫小牧の新花園店が旧店に比べて売上げで数倍に達している。この成功要因を分析して既存のマックスバリュ店舗に導入していくとともに、リニューアルにも新花園モデルを取り入れていく。
 
 もう一つは、「ザ・ビッグ」に地域性を付加していくことだ。2年前の平岸店の転換から始まった当社のザ・ビッグ展開は既に16店になっており、継続運営できる基盤が整ったため商品構成なども見直してより強化していく。
 
 ――新規出店の考え方は。
 
 出戸 札幌市西区八軒に既に土地を確保しており、来年にはマックスバリュ店舗をオープンさせる。この店舗は、新花園モデルを踏襲して強いマックスバリュの店舗にしたい。また、都心型小型店の「マックスバリュエクスプレス」は、昨年8月に居抜き出店した中の島店が好調で、今後も出店していく考え。ただ、都心の物件では、異業種と出店を奪い合う構図になるため、ローコストで運営できる後方支援体制を整備し競争力を付けたうえで進めていきたい。
 
 ――今年度は、ほぼ毎月既存店リニューアルやザ・ビッグへの業態転換を行ってきた。来年度はどうなるのか。
 
 出戸 リニューアルのペースは今年度と同様に継続する。二けたの店舗でリニューアルや業態転換を実施していく考えで、その場合に先ほど言った新花園モデルの投入や地域に合った商品投入、総菜強化などを図っていきたい。
 
 ――今年度は3店舗の閉店があったが、来年度の閉店は。
 
 出戸 閉店する店舗は予定していない。
  
 ――道内食品スーパー市場は、低価格化が進み各社とも厳しい戦いをしている。道内の食品スーパー市場をどう分析しているか。
 
 出戸 価格競争はずっと続いていくだろう。ただ、従来のようにお客様にとっての低価格に対する驚きは少なくなっており、低価格が当たり前になってきた。安さを強調するイメージづくりや無理なく低価格が出していける体制をもっと強くしていかなければならないと考えている。お客様の購買変化に合わせた売場の変更や商品の改廃はもちろんだ。
 
 ――M&Aはどう進めていくのか。
 
 出戸 M&Aは、志を同じくしてともに進んでいける企業があれば協力関係を進めていきたい。
  
 ――中期計画の見直しで、今後3年間でどれだけ売り上げを伸ばすのか。
 
 出戸 今期の売上げは、決算期の変更で13ヵ月決算となるが、880億円を見込んでいる。中期計画の見直しで近いうちに1000億円を達成したい。

 
 出戸社長は、社長就任後に全店舗を回ることを決め、12日までに60数店舗の視察を終えた。残り10店舗あまりを年内に回り終えるという。各店舗を回るうちに、「必ずしも全体最適が個別最適になっていないところがある」ことを実感したという。局地戦では他店に後れを取っている場合もある。マックスバリュ北海道の前身でもある旧札幌フードセンター創業者の孫として現場感覚を磨き、食品スーパートップに必要な「俯瞰力」、「洞察力」、「リーダーシップ」をどう発揮していくかが問われる。


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