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――「生鮮食品センター部」の新設にあたり、外部から人材を招聘しました。
福原 生鮮食品センター部の新設のため、その部門に詳しい人材が必要と考え、西友出身の鷲平(雅保)常務と相談したところ、九州の西友でデリカ工場のナンバー2だった中島(力)氏がふさわしいということなり、招聘することにしました。福岡から家族で帯広に来てくれたのでうれしかったですね。
――福原の店舗では、道東ライス商品はどの程度扱っていたのですか。
福原 当社のデリカ商品のうち35%を道東ライスから仕入れていました。残りの60%は各店舗のバックヤードで製造し、5%は道東ライス以外から仕入れていました。センターを新設するよりも、事業を譲り受ける方が運営を軌道に乗せやすいと思いますが、生産性は2割ほど上げていかなければならないでしょう。当社以外の外販も継続していきます。
――店舗に関して、福原の強みはどこにありますか。
福原 強みは商品力にあると思います。一番力を入れているのは生鮮品の鮮度。その他にも、お客さまの買いやすいレイアウトであったり、きちんと筋を切った肉をカットしたり、目立たないところにも気を配って商品化や買い回り環境の改善を進めてきたところです。最近では、2020年から始めた「オンリーワン商品」があります。地元の優れた食材を利用して、今まで福原の店頭になかった商品を開発する取り組みです。定番商品になった一つは、「鳥せい」とタッグを組んだ商品です。「鳥せい」は、若どりの炭火焼き、から揚げ、串焼きのチェーン店ですが、チェーン店で提供する商品とバッティングしないようにした加工調理前の「鳥せい」商品を当社向けに開発してもらいました。最初は大型店舗だけで販売していましたが、大人気で取り扱い店舗を増やし続けています。「鳥せい」は、この商品の製造ラインを増設したほどです。
その他にも、日本唐揚げ協会が主催する今年の第13回からあげグランプリで、当社の「鶏鶏鶏(トリプルチキン)から揚げ・塩味」がサントリーハイボールにぴったりな唐揚げを選ぶ「ハイ&カラ」賞と「ハウス食品特別賞」を受賞しました。これも商品開発に力を入れてきた結果だと思います。そのような面白い、変わった商品を提供することは、お客さまに向けてアピールできますが、ベーシックな商品をきちんとお届けするのが基本中の基本。その考え方だけは、忘れないようにしています。
――店頭商品の宅配に関しては、Woltのサービスを導入していますね。
福原 現在、Woltのサービスを9店舗で実施しています。じわじわと利用は増えていますが、それほど高い頻度で利用が進んでいる感じではありません。
――ネットスーパーの取り組みは。
福原 ラルズが始めている「アークスオンラインショップ」の導入を視野に入れていきたい。ただ、札幌の商圏と比べて帯広、釧路さらに郡部は全然条件が違う。ラルズもそうした地域でのノウハウを蓄積していくと思うので、どこかの段階で導入できればと考えています。
――売上高経常利益率は3・2%とアークスグループの中でも高い。
福原 食品スーパーのチェーン店舗としてスタートした規模の小さな時から、計数管理を細かく徹底していました。今はどのスーパーでもコスト管理、計数管理に一生懸命ですが、先代が采配を振るった昭和40年代、50年代からそうしたことをやっていたスーパーは少なかったのではないか。その経営風土が根付いている面があると思います。