セコマ・赤尾洋昭新社長インタビュー「地域になくてはならない『セイコーマート』になる」

流通

 ーー6月に入ってからの状況は。

 赤尾 6月の売り上げは前年同水準になりました。お客さまの多い時間帯と売れ行きの良い商品の傾向は、3~5月のコロナの時をかなり引きずっています。売れ行きが良いのは牛乳やアイス、菓子などのほか、家で食事をするようになって増えた日配商品、野菜や肉などです。ワインや酒類も家飲み需要で2ケタ伸びました。逆に売れ行きが鈍っているのは前述したタバコのほか、ペットボトル飲料、弁当など。出来たて商品の『ホットシェフ』は、昼の時間帯は売れますが、夜の時間帯はかつてほど売れなくなりました。
 いずれにしてもお客さまは戻りつつありますが、午後9時以降はまだ8割程度しか戻っていません。以前の6割と比べると多少増えてきましたが、まだ繁華街には人出が戻っていないようです。コロナの影響を受けた今年の業績予想を調整しているところですが、基本的には前期を超えたいと考えています。

 ーーコロナ下での出店戦略は。

 赤尾 今期に何店を出店するという数値的な目標は持っていません。出店候補地が出てきた中で、地主や家主と話がまとまった所に出していくパターンが大半です。これまでは不動産価格が高く、投資回収を厳しく査定してきたので新規出店は少なかったのですが、今後も同じスタンスになると思います。コロナの影響でホテル開業も延期されるケースがあり、テナント出店も今は止まっている状態。既存店のリニューアルや駐車場の拡大といったところに積極的に取り組んでいきたい。

 ーーコンビニ各社の出店スタンスにも違いも出てきているようですね。

 赤尾 他のコンビニチェーン店が現在、建設している店舗は、1年くらい前から出店が決まっていた店舗で、コロナが始まったからといって建設を中止できる物件ではなかったのではないかと思います。

 ーーRB(リテールブランド)商品や店内調理の『ホットシェフ』などで、新商品開発の方向性は。

 赤尾 商品開発に関して、今までと大きく考え方は変わりませんが、北海道の農水産物を使った商品を今後も増やしていきたい。なるべく産地の名前が出せるような商品が良いと思います。6月9日より滝上町産の和ハッカを使用した『ミントハイボール』の販売を開始しましたが、まだまだ私たちが知らない素晴らしい原料が北海道にはたくさんあります。ユニークな素材があることは分かっていても、実際にその素材を調達して商品化するのはそう簡単ではありません。最近になってようやくセコマグループも生産者との繋がりや商品開発の流れをつかむことができるようになりました。北海道産素材の特性を十分に生かした商品が開発できると感じています。こうした道産素材を使った商品で、もっとマチの名前が付くような商品の開発ができれば良いと思います。年間数点ずつでも出していきたい。

 コンビニでは1000店舗規模のチェーン店が原料調達のちょうどいいロットだと感じています。ナショナルチェーンのように店舗数が巨大になると、全店で扱う原料を揃えるのがとても難しくなります。特に地域の特産原料を使うことは難しくなります。私たちのような1000店くらいの規模が、原料調達には程よいスケールなので、セコマはちょうどいいサイズだと思っています。

 ーー物流センターなど新たな整備計画はありますか。

 赤尾 今のところはありません。物流拠点のキャパシティには問題はありませんが、グループの工場間に距離があるなど改善の余地はあります。配送のタイミングや物流センター内の作業についてもまだまだ改善の余地があると思っています。

 ーーセコマグループ全体の今期の設備投資などについて。

 赤尾 全体的に投資は控え目にしようと思っています。コロナ下の状況なので、メインの店舗投資と豊富牛乳公社の生産能力増強が大きなものです。牛乳の生産能力は、現在よりも1・5倍程度まで増える予定です。食品メーカーや農業法人のM&A案件は持ち込まれますが、良い物件があれば進めていきたい。グループ会社は、ここ数年間で統合再編したため以前よりも数としては少なくなっています。

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