セコマ(本社・札幌市中央区)の新社長に赤尾洋昭副社長(43)が4月1日付で就任した。実質的な創業者、故赤尾昭彦会長の長男で会長死去後、4年目にしてトップの座に就いた。かつて故赤尾会長は丸谷智保社長と「赤尾ー丸谷」ラインで経営にあたってきたが、今回、丸谷社長は代表権のある会長に就任、今度は「丸谷ー赤尾」コンビで采配を振るうことになった。洋昭新社長は丸谷氏に全幅の信頼を寄せるが、折しもかつて経験したことがないコロナ禍での船出となった。経営者として勘に秀でていた昭彦氏に対して、洋昭氏は理の経営者といった印象を受ける。セコマの世界観を変えた丸谷会長との共創は、セコマをどう前進させていくか。(あかお・ひろあき…1976年10月札幌生まれ、43歳。北嶺中・高校、一橋大学卒。99年4月マツダ入社、2004年5月セイコーマート(現セコマ)入社。06年3月取締役、09年2月常務、14年2月専務、16年2月代表取締役副社長、20年4月現任)

 ーーコロナ禍の中、新社長に就任されました。

 赤尾 就任前から新型コロナウイルスの感染が広がり、就任後も仕事のほとんどがコロナ対応に終始しました。6月になってようやく落ち着き始め、これから通常の状況に近づくのではないかと思っています。この3ヵ月間は、コロナ禍を受けて社会がどう変わっていくかという予測を徹底的にやりましたが、想像していたよりは少しは落ち着くのではないかとみています。“ウィズコロナ”の時代は、お客さまの食生活や行動、休日や夜の過ごし方がどう変わっていくのかを考えた上で、どういう店舗づくりが良いのか、レイアウトや設備、商品も含めて考えていきたいと思います。

 ーー社長に就任後に心境の変化はありますか。

 赤尾 私自身は特に変わりませんが、周囲の見る目は違ってきたように感じます。身が引き締まる思いです。

 ーー実質的な創業者だった故赤尾昭彦会長の子息として経営トップに就かれたわけですが、創業家がトップに返り咲いたことに感慨はありますか。

 赤尾 企業経営が連続している中で社長のバトンを引き継いだので、父から引き継いだということは特に感じていません。丸谷(智保)も会長として経営に当たりますから尚更です。(父が)亡くなって4年が経ちますし、その前から札幌を離れて東京で活動するようになっていたので、私自身、経営者としての父と5~6年間は近くで接していませんでした。

 ーー会長、社長の役割分担に変更はありますか。

 赤尾 社内の担当部署はこれまでとほとんど変わりません。対外的な仕事に関しては丸谷も引き続き行いますが、私の出番も少しずつ増えていくと思います。基本的には2人共に経営全般を見ることになっており、丸谷は営業と商品、私は店舗開発と管理部門、店舗のオペレーションなどを主に担当しています。

 ーーコロナ下での販売状況はいかがですか。

 赤尾 コロナの感染拡大が止まるのか、再拡大していくのかで経営環境は相当大きく変わります。一定程度、感染が抑えられればインバウンドが戻らない状態で日常が戻ってくるのではないかと思います。そうなればかなり見通しは立てやすくなりますが、7月には関東で第2波、北海道で第3波が来て、9月頃には世界的な第2波が来るという予測もあるので、そうなった時にはまた大きく変わってくると思います。
 コロナによる外出自粛が始まって以降は、午前9時から午後6時の時間帯にお客さまが増えて売り上げも伸びました。しかし、それ以外の時間帯は非常に悪い状況が続いていました。5月末に緊急事態宣言が解除されて以降、朝と夜の時間帯の売り上げは回復傾向にあります。朝は午前6時から同9時、夜は午後6時から同9時までがかなり戻ってきました。しかし、それ以降、夜の時間帯はまだまだ戻りが遅いですね。
 
 全体の売り上げで言うと、5月までは前年を少し割るくらいでした。中身を見ると、オフィス街にある店舗や観光地にある店舗の売り上げがかなり落ち込みました。もう一つ、在宅勤務やテレワークの拡大でタバコの売れ行きが鈍っています。昨年10月の消費増税や4月から始まった健康増進法一部改正が全面施行され、屋内の原則禁煙となったことなどの影響で喫煙者が減っていることもあります。コンビニ売り上げは、タバコのウエートが高いのでその影響は大きいですね。



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