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 ――そのほかの既存店投資についてどうですか。

 星野 今期は専門店の靴とH&BC、フラワー&ガーデンの3分野で活性化を進めている。靴は活性化した店舗で10%台と二ケタの伸び。化粧品も活性化した店舗で6%くらい伸びている。いずれも10数店舗で実施した。アパレルが不振な中で、靴とインナーは好調で、とりわけ靴では子供用が道内約シェア30%、冬靴もシェアが高い。これらは利益貢献度のある分野だ。

 ――旭川地区では西武旭川店の閉店、函館地区は北海道新幹線開業がありました。地域的な動向は如何ですか。

 星野 「旭川駅前店」は、西武旭川店の閉店以降、前年同期比120%近く伸びている。SCとしてお客様の評価が高く、当初年間500万人の来店客予想だったが800万人になった。我々の想定以上に広域からお客様が来ている。駅前発のバスは120路線ほどあってバスを使ってきているお客様もかなり多い。お客様の声を聞くと、同窓会が増えたり友達同士で映画を観て食事をするなど旭川駅前に出る回数が増えたと聞いている。

 旭川駅前エリア全体の魅力度は、イオンモール旭川駅前によって確実に高まり、買物公園も人の流れが増えた。買物公園の平和通商店街で後継者がいないため店を閉める商店もあるが、相当活性化のチャンスがあると思っている。長い目で見ると、もっと良くなるだろう。ただ、我々とすれば集客面でも西武旭川店があった方が良かった、西武の営業が続くと見て、我々としては新しく発行したあさひかわWAONに市街地活性化の寄付スキームを取り入れたという経緯がある。そういう意味では、西武旭川店の閉店は非常に残念。なお、当社店舗のインバウンド売り上げで、ナンバーワンが旭川駅前店。旭川地区はインバウンド需要も含めてまだまだ売り上げが伸ばせる地域だ。
 
 函館圏にある2つの店舗は、それほど大きな店舗ではないが、堅調に推移している。我々とすれば函館圏に進出できたことに意味がある。北海道新幹線の開業効果はそれほど見えないものの少しずつ出ているという印象だ。

 ――9月から渡島・檜山地域でネットスーパーを始め、離島を除く道内全域での即日配達が可能になりました。将来像をどう考えていますか。
 
 星野 ネットスーパーは我々にとってオムニチャネルに繋げていく大切な起点だ。店舗で買うのか、ネットで買うのかはお客様次第なので、リアルの店舗とネットスーパーを上手に共存していこうというのが我々の考え方。今のところ、ネットスーパーでは食品と家庭用品、インナーなど必需品的な商品に絞っているが、将来的にはもっと広がりを持たせてリアル店舗との相乗効果が期待できる商品を扱っていく。
 働く女性が増えておりネットスーパーのニーズは高い。この3ヵ年で伸び率も二ケタ、120%近い。今期は、ホームページを一新し、使い勝手を良くしたので道内のネットスーパーとしては一番利用しやすい環境だと思う。
 
 ただ、ネットスーパーでどこまでも売り上げを拡大していくことは考えていない。我々とすればリアルの店舗にお越しいただき、本来の買い物の楽しみを味わってもらいたいと考えている。買い物の楽しさや喜びをもっと強化していくために、苫小牧市と協働で地域の皆さまの健康増進を目的に11月から苫小牧SCでモールウォーキングを実施したが、それは高齢化社会を迎えて健康で長生きするためにSCを活用してもらおうという発想から生まれた。今後もSCで買い物する楽しさを五感で訴えていく。いずれにしてもオムニチャネルの入り口部分としてネットスーパーを強化する考えだ。
 
 ――この2~3年でリアル店舗の新規店舗はありますか。
 
 星野 札幌市内は都市計画に規制があるため殆ど大型店の出店余地がない。その意味ではダイエー承継店舗は、新店に変わる成長事業として良いタイミングだったと判断している。今後の出店戦略は、建築コストも上昇しているので大型店よりも少し規模が小さい3000㎡から1万㎡までの間で食品、ドラッグ、インナー、H&BCで構成する店舗を志向したい。ちょうど旭川駅前店の1階ゾーンのイメージ。まだ具体的な話はないが、ダイエー承継が軌道に乗ってきたのでそのフォーマットによる出店を考えたい。
 
 ――ところで、イオン北海道が債権を持つ「ウイングベイ小樽」への対応は。
 
 星野 我々としては小樽店の業績も顕著に推移しているところで、債権には十分な引き当てをしており、物件そのものに対していつでも抵当権行使できる状況であり、自ら動いていることはない。あくまでも「ウイングベイ小樽」の再建を見守っている立場に変わりはない。
 
 ――小型食品スーパー「まいばすけっと」は現在34店舗ですが、当面の店舗数の目標は。
 
 星野 100店舗程度を考えている。ただし、当初言っていた出店スピードからかなり減速している。まだ事業としては4年目だが、ブレーキを掛けたと言うよりも採算性を重視する方向に移り、これまでに3店舗を閉店した。最初は東京の「まいばすけっと」事業をそのまま移入するやり方だったが、それは修正して札幌に当てはまる世帯数、駅からの距離、競争店の数などを決めて出店するようにした。
 
 年間10店舗程度を出店する計画は変えていない。最低でも100店舗程度にならないと事業として意味がないと思う。店舗の品揃えなどは当初と比べて相当変えた。変えたことによってコンスタントに既存店の売り上げは伸びており、既存店は利益を出している。新店がまだマイナスだが、今後1~2年で全体の採算は合ってくるだろう。100店舗は予定通りに実行できるが、いずれにしても丁寧に事業展開していくつもりだ。(終わり)

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