IMG_6042(リージョナルという地域単位でEZOCAを経済のプラットフォームにしたいと言う富山浩樹社長)
 
 ――業態の革新と多店舗展開ということですね。昨年ぐらいからドラッグストア各社とも一段と出店ペースを上げていますが、今後も今の出店ペースを維持しようと思っていますか。
 
 富山 昨年は、建築コストや人件費、電力費の値上げがあり固定費が上昇しました。消費増税などで一気に経営環境が変わったので、方向性としては地域シェアを伸ばすことですが、経営環境を見ながらバランスを図っていくことが重要だと思っています。
 
 ――3~4年ほど前は離島や人口が少ないところに出店していましたが、最近はどちらかというと都市部に集中出店しているのではないですか。
 
 富山 北海道全域でドミナント(集中)出店していきたいと思っているので、順序は変わっても出店していない地域を埋めていく基本は変わらない。現在、159店舗で多店舗化していける体制づくりをすることとシェアを高めるために出店を増やす方向がありますが、社長交代して経営環境も変わったタイミングなので、もう一度、社内で当面2~3年の方向性を出そうとしているところです。
 
 ――現在、免税対応店が7店舗ありますが、今後もインバウンド(海外観光客)の店舗は増やしていくのでしょうか?
 
 富山 札幌の狸小路5丁目の店舗はインバウンド対応にしましたので、日本人のお客様からすると正直、買いにくい売場になっていると思いますが、そこは割り切っています。千歳市のアウトレットモールレラ店でも同様です。その他の既存店の免税対応については、地域のお客様が優先ですので、そのお客様たちが買い物しづらくならないように取り込んでいきたい。むやみに免税対応店を増やすというよりは、バランスを考えながら、出店していきます。もちろんインバウンドに特化して需要を取りに行く店舗は今後も出てくると思います。
 
 ――プライベートブランド(PB)はさらに増やしていくのでしょうか。
 
 富山 PBもただ闇雲に増やしていく方針ではなく、品揃えの中で判断しています。ナショナルブランド(NB)と重なるようなものではなく、我々独自の価格、デザイン、品質のサツドラブランドが浸透していくためにPB開発を継続していきます。
 
 ――道産子ポイントカードの「EZOCA」は、どのような戦略展開を考えていますか。
 
 富山 EZOCAは道民カードという位置づけですが、現在、利用者が108万人で、今年度に150万人を目指しています。推定普及率は約43%。一方で今後もPONTAカードやTカードなど、共通ポイントカードへの流れは確実に進んでいき共通ポイントカードの国民カバー率はどんどん上がるでしょう。財布の中に1人あたり15枚から18枚のポイントカードがあるそうですが、生き残るのは3~4枚だと言われています。その中でEZOCAが埋没するかというと、かえってポジショニングがはっきりすると思っています。特色や質、使い方など独自のポジショニングを構築して世帯普及率8割を達成します。
 
 一般的に女性の方が圧倒的にポイントのリテラシーが強い。当社は女性客が多いので世帯カバー率が上がっています。ドラッグ主体というのはポイントカード事業では非常に優位性が高い。子育て世代や団塊ジュニアの女性は、小学生の子供がいたりしますが、その子供たちは団塊世代の孫で、こうしたニューファミリー層というのはマーケティング上、非常に有効な世代なのです。ウェブのリテラシーもあり、SNSを使うので拡散性が高く広告の費用対効果も高い。道内子育て世代の45%を押さえているので、そこを資産としてどうマーケティングをしていくか、コラボレーションなども膨らませられる。今後は地域の商店街との提携も強化していきたいですねすね。
  
 ――現在、提携店はどのくらいですか。
 
 富山 提携しているのは道内約65社で店舗数は約500店舗。タクシー会社とも提携しており約800台はEZOCAが使えます。地域カードの強みはすべての経営者とフェイス・トゥー・フェイスで話せること。TカードやPONTAカードでそんな密着度はありません。単なるポイントカードではなく、メディアとして「EZO・クラブ・マガジン」を発行したり、「EZO・クラブ・コミュニティ」というソーシャル・コミュニティも作っていますが、コミュニティの数は100以上で1万人以上が参加しています。
 
 企業同士のコラボも進めて地域の掘り起こしも一緒にやっていこうとしています。北海道コンサドーレ札幌を運営する北海道フットボールクラブとは、お客様を増やしていく企画について毎週のように打ち合わせをします。そういった地域密度の強みによるポジショニングは唯一無二になっていくと思う。リージョナルという地域経済圏は非常に日本では重要になってくるのではないでしょうか。ローカルでは小さすぎ、ナショナルでは大きすぎてできないことがある。でもリージョナルなら可能。その経済圏でのプラットフォームを作っていきたいと思っています。
 
 ――本日はありがとうございました。
(※2015年7月22日記事一部訂正)

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