格安運賃を掲げて昨年4月に札幌交通圏(札幌市、江別市、北広島市、石狩市)に参入した札幌MK。規制緩和の旗手として同一地域・同一運賃に風穴を開けようと、全国各地で地元タクシー会社といがみ合いを続けながら孤軍奮闘している。


札幌MKの初乗り運賃は550円。通常のタクシーは600~650円の範囲だからその差は最大で100円にもなる。このため、自治体などが入札でハイヤー会社を決めようとすると、値段が安い札幌MKに殆ど落札されてしまう。
札幌MKの車両台数は、現在100台。札幌のタクシー会社は64社あるが、その中で20位以内に入る中堅上位の規模。それだけに、札幌MKの格安運賃は既存タクシー会社にとっては脅威になっている。
地元タクシー会社が加盟している札幌ハイヤー協会の矛先は札幌MKの格安運賃での参入を認めた北海道運輸局に向かい、昨年道運輸局を相手に認可の差し止め訴訟を提起。現在も弁論が続いている。
道運輸局の対応は、確かに一貫性がない。と、いうのも札幌MKの格安運賃が認可された後に、協会を脱退していた札幌北交ハイヤーも対抗策として550円の運賃申請を行ったが、こちらは認められず当時の下限運賃だった580で再申請し認可を受けた経緯があるからだ。
道運輸局が札幌MKに認可した運賃は1年間の期限付きだったため、今年4月に札幌MKは再び550円運賃の申請を行ったが、道運輸局は再び1年間の期限付きながらあっさりと継続を認めてしまった。
このころは、九州運輸局が福岡MKに対して初乗り500円から570円への運賃引き上げを要請していた時期と重なる。九州と北海道で格安運賃に対する行政の姿勢が正反対なのもダブルスタンダードそのもの。
福岡MKは、福岡地裁に現行運賃の継続を求める仮処分申請とともに九州運輸局を提訴している。その注目の裁判の判決が9月24日に予定されている。
北海道と九州で札幌MKに対する運輸局のダブルスタンダードが顕在化しているだけに、福岡地裁の判決は札幌で行われている認可差し止め訴訟にも影響を与えそう。
(札幌ハイヤー協会加盟各社も福岡地裁判決に強い関心を寄せている。写真は、札幌ハイヤー協会加盟社の三角札)

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