ーー営業店などの来店客が減少しています。店舗統廃合はさらに進めますか。
前田 支店数は現在81で札幌市内が特に多く小樽市内もやや多い。後志圏は余市町が2ヵ店で後は町村に1ヵ店ずつになっていますから、それらを将来的にどうするか。統廃合をすることになったら店舗内店舗も考え方の一つです。
なお、今年度は9月に小樽地区の一部店舗で担当エリアの重複を解消するため、取引先の利便性を考慮しつつ渉外担当者を基幹店舗へ集約、営業活動の効率化を図っています。緑支店の渉外担当者を小樽支店に集約、高島支店の渉外担当を手宮支店に集約しました。また、20年の年初には手稲支店、同年夏ごろには琴似支店をそれぞれ新築移転します。
ーー20年3月期の業績見通しとその背景は。
前田 低金利環境の長期化により、非常に厳しい収益環境ですが合併効果(経費の削減と利便性向上による収益力の強化等)を発揮することで、適正利益の確保に努めていきます。多くの金融機関が課題としている預貸金利ザヤの縮小を補うため、ボリュームの確保と経費削減に取り組みます。また、前倒しで対応した店舗統廃合や営業の効率化対応等の効果は、今年度以降に現れてきます。当金庫は地域専門金融機関であり、地域と共存共栄の関係です。地域の課題は当金庫の課題であり、地域の発展に積極的に関与・貢献することが当金庫の使命で、それが「勝ち残る」道でもあります。
地域金融機関に求められる基本的な使命は、従来の金融仲介機能に加えて、新規創業支援から経営改善指導に至るまで、企業のライフサイクルに応じたコンサルティング機能の発揮や取引先の経営課題を共に解決する課題解決型金融へと変化してきており、地域特性も勘案の上、取引先の真のニーズに適う提案を実践しています。
当金庫の子会社であるしんきん北海道金融センター(札幌市北区)や外部提携先と連携、提案・情報提供を行うとともに企業の抱える様々な課題解決に取り組んでいます。
ーーそうした施策の実現度合いを聞かせてください。
前田 昨年度の実績としては、創業・新事業支援融資が152件の18億2600万円、各種ビジネスマッチングによる販路開拓支援が12先、経営改善支援によるランクアップが37先、事業承継への取り組みとしてM&A支援が13先、事業承継支援が4社ありました。地方創生に係る取り組みとしては、ビジネスマッチングの機会を積極的に提供しています。第1次産業の比率が高い後志地方の品質の良い農産物、水産物を魅力ある商品に加工し、道内最大の消費地である札幌市あるいは全国に知名度を広げる「架け橋」となれるよう努めています。
例えば、食品製造会社へ商社(バイヤー)を紹介し販路開拓につなげるほか、百貨店を仲介して通販カタログへ商品を掲載するといった取り組みを行っています。その他の事例としては、水産卸会社と連携し水産加工会社を支援したほか、アップルパイの店を出店するにあたり、りんご農家を紹介し、りんごの継続的納入につなげるサポートを行いました。
また、近年、余市町・仁木町におけるワイナリー事業及びトマト生産の新規就農者が増えつつあることから、日本政策金融公庫との業務提携により、就農予定者、新規就農者、就農後5年目程度の事業主を対象とした、就農者セミナーの共同開催を12月に予定、その他事業者のための外国人採用・活用支援セミナー、事業承継セミナー、BCP対応セミナー、経済講演会等につきましても後志地方で開催するなど、地域経済の活性化に寄与する取り組みを行っております。
ーーところで、信金合併は今後も道内で続くと思いますか。
前田 北海道の信金はいずれも強い経営基盤を持っています。当金庫に他から合併しようという話が来たら考えるかも知れないですが、今のところそういう話は全くありません。
ーー預金量1兆円を超えましたが、純利益は19年3月期で10億3600万円と旭川信金、苫小牧信金、帯広信金に次いで道内4番目。預金量トップとして純利益もナンバー1を目指しますか。
前田 純利益も当然トップにならないといけないが、当面は難しい。償却が終わる4~5年先からトップを狙えるようになるでしょう。
ーー本日はありがとうございました。