名前を付けるということは、人はもちろん企業や製品に命を吹き込むことに繋がる。それだけに考え、悩み、迷い、決断することになるが、最近発表された北海道の合併信用金庫の名称も名付けるまでに苦労した痕跡が窺える。IMG_4349(写真は、『北海道信用金庫』の本部になる現札幌信金本店ビル)

 2018年1月に合併する札幌信用金庫(本店・札幌市中央区)と北海信用金庫(同・余市町)、小樽信用金庫(同・小樽市)の3金庫合併後の金庫名称が『北海道信用金庫』、略称は『しんきん北海道』になることが11月22日に発表された。
 道央圏の核になり、北海道を代表する信用金庫になるという合併のコンセプトに合致した名称を付けることはかなり難しかったのではないか。

「めぶき」、「きらぼし」、「コンコルディア」、「トモニ」――これは2016年に発足した地方銀行の持ち株会社名(きらぼしは18年5月予定)。これらの名称はいったいどの地方を基盤にした銀行なのかが伝わってこない。持ち株会社なのでそうならざるを得ないのかもしれないが、地方の名前が入っていないのはどこか寂しい。

 合併3金庫も地銀持ち株会社のような名称を選択することもできたはずだが、そこはやはり地域に密着した協同組織金融機関としてオーソドックスな名称を優先したようだ。3金庫が候補にした名称は略称も含めて『新北海道信用金庫』、『北海道信用金庫』、『しんきん北海道』、『信金北海道』、『しんしんきん』、『新信金』『どうしんきん』、『道信金』、『道栄信用金庫』、『北海道中央信用金庫』の10候補だった。
 その中から正式名称『北海道信用金庫』、略称『しんきん北海道』に決定した。落ち着くところに落ち着いたという印象だ。

 3金庫より一足早く17年1月23日に合併する江差信金(本店・江差町)と函館信金(同・函館市)は16年3月から江差、函館の地名を使用しない条件で一般から公募。739件の応募があって最多は『道南信用金庫』だったが、『うみまち信用金庫』の名称も多かったそうだ。そのほかにも『みそら』、『しお風』、『うみしん』などの略称も候補に挙がっていた。最終的には6月に『道南うみ街信用金庫』を正式名称にし、略称は『うみしん』に決まった。
 人であれ企業であれ、名が決まった時から自ら歩き始め、その人や組織に相応しい名になっていく。名にはそういう働きがあるようだ。


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