「10年にANAセールス北海道が、ANAセールスに統合された時、50人の道産子を東京に送り出さなければならなかった。家庭の事情等でなかなか決断がつかないと思ったが、『東京に行ってみよう』と言ってくれたのは女性が多くてびっくりしたのを覚えている。東京に行ったメンバーは順応性が高く、活躍している話を聞くと嬉しく思う」

「こういう人たちと働いていて自分のマネジメントスタイルも変化した。最初に管理職になった時に部下の女性にこっぴどくやられて女性と働くのが実はすごく苦手だった。与えた仕事はものすごく一生懸命するが、『自分の考えでやって』と言った瞬間に『丸投げしないでください』と言われる。そういうことがすごく面倒で女性と働くのが苦手だった。
 北海道に来て、中核の44人の女性を中心に働いてみたら、頼りになることがいっぱいあった。この人たちと一緒に働くことが北海道で本州企業が発展していくことだと頭の切り替えができた」

「良いことには裏表がある。ここからは少し裏の部分に言及したい。『真面目で我慢強い』ということは、個人商店的に我慢して自分で解決しようということに通じる。他人の知恵を借りず、全部自分でやろうとする。容易に慣習を変えないと感じた」

「『合わせることが上手』ということは、あまり提案をしないということにも通じる。北海道のメンバーでずっと働いているので、相手の耳障りなことを言わない、指摘しない、個性を出さないことになる。『押しが強い』というのは、周りが見えなくなって猪突猛進することの裏返し。そういう力を一方で持っているとも感じた」

「『情に厚い』というのは、冷静に見られないことにも通じる。それから『控え目』というのは、リーダーにはなりたくない、決めたくないというところもあるような気がする。『明るくてタフ』というのは、がつんと来た時でも仕方ないなと懲りていない面もあるように思った」

「大所帯のリーダーは、良いところを輝かせて、その逆のところはなるべく抑え気味にすることがすごく必要だ。自社だけではなく違う企業と一緒に物事に取り組むことによって、各々の潜在能力が掘り起こされることがあると学んだのも北海道。北海道には皆で一緒に何かをやろうという風土がある。潜在能力を引き出す機会が多いのではないか」

「北海道の女性経営者の数は15年の調べで全国7位。北海道は女性が活躍することを期待してくれているし、女性が本当に活躍しやすく本気で応援してくれる土地柄だと思う」

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