見慣れた店舗が閉店していくのは寂しいもの。とりわけ飲食店など街の日常風景に溶け込んでいた一角が消えるのは、流れていた月日が途切れるようで不安な気持ちになる。(写真は、25日で閉店する「モスバーガー札幌南1条西6丁目店」)

 札幌市中央区南1条西6丁目の通称電車通りと西6丁目通の交差点の一角にある「モスバーガー札幌南1条西6丁目店」も街の風景を形づくっていた店舗の一つだった。1999年に竣工した地上8階建て、第27桂和ビルの1階にあるこの店舗は、オフィスビルや商業ビル、ホテルなどが建ち並びこの界隈で長く親しまれてきた。立ち寄ったことがなかったとしても、あの看板、あの雰囲気は場所のイメージと重なって行き交う人の記憶に残る店舗だった。

 そんな店舗が6月25日(木)午後5時をもって営業を終了する。約1200店舗あるモスバーガーの売り上げはコロナ禍でも好調を維持しており、既存店は4月が前年比103・7%、5月は112・2%だった。客数は10~20%の減少を余儀なくされているが、客単価がそれを補っている。ただ、2020年3月期末の全国店舗数は、その前の期末に比べて34店舗少なくなるなど減少傾向にある。
「モスバーガー札幌南1条西6丁目店」の閉店もこうした流れと無縁ではなさそうだ。残り1週間、お客と店舗、行き交う人たちがつくり上げてきた場所の匂いが徐々に濃さを薄めていく。


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