新型コロナウイルスの影響で外国人観光客などが減少している北海道で、催事出店で売り上げを伸ばしていた「くりやまコロッケ」を製造販売していた北海道三富屋(夕張郡栗山町杵臼274—3)が自己破産した。25日、札幌地裁岩見沢支部が同社の破産手続きの開始決定をした。負債総額は約7400万円で破産管財人は開本英幸弁護士(札幌市中央区)。

(写真は、北海道三富屋の事務所と工場建屋、『くりやまコロッケ』の書かれたキッチンカーとトラック)

 北海道三富屋は、2005年6月に設立され、同年10月に農業生産法人の認定を受けた。「安全・安心」を一番に、畑を所有して自社で生産、収穫、保存した原料を使用。近隣農家の生産履歴がある野菜もコロッケに使っていた。
 会社設立のもう一つの狙いは、栗山町の原料にこだわり妥協を許さず手作りしたコロッケを栗山町ブランドとして全国に発信する狙いもあった。

 スーパーや量販店への卸と全国で120回以上の催事販売が収益の柱で、12年8月期は約1億1000万円を売り上げた。しかし、原料にこだわった手作りのため、コスト高で価格競争が激しい冷凍コロッケ業界では苦戦。金融機関と経営改善計画を策定して赤字解消に取り組んできたが、もう一つの収益源だった催事販売が、新型コロナウイルスの感染拡大による来場者減や中止が予想され経営改善は難しいと判断、21日に札幌地裁岩見沢支部に自己破産申請していた。

 27日に栗山町の北海道三富屋を訪れると、プレハブの事務所や製造を行っていたとみられる工場建屋にはシャッターが下り、人けがなくひっそりとしていた。駐車場には催事用などに使われていた『くりやまコロッケ』のトラックやキッチンカーも停められていた。スーパーの関係者は、「『くりやまコロッケ』は丁寧に作られた商品で、おいしくて人気があった。店頭から消えるのは残念」と話している。


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