APAMAN(本社・東京都千代田区)の全額出資子会社、アパマンショップリーシング北海道(同・札幌市北区)の直営店舗「アパマンショップ平岸駅前店」(豊平区)で起きたスプレー缶爆発事故から16日で2ヵ月。被害者への賠償金や建物の復旧費用など賠償金総額が10億700万円に及ぶことがAPAMANの見積もりでわかった。(写真は、アパマンショップ平岸駅前店が入っていた酒井ビル跡の更地)
(写真は、3月中の営業再開を目指す「ロイヤルホスト平岸店」)

 爆発事故で怪我をしたのは52人で物的被害は建物41棟、車両32台に及び、あらためて爆発の凄まじさを物語る。まもなく2ヵ月になるが、事故現場となった酒井ビルは既に解体撤去され、跡地には雪が深く降り積もり周囲は静けさに包まれている。

 爆発の爪痕は、隣接するマンションとの境界にある折れ曲がった鉄柵や板を張り付けた窓などに残るほか、「ロイヤルホスト平岸店」には休業の看板が今も痛々しく掲げられたままだ。

 APAMANによると、事故後に開設した現地受付事務所や被害者コールセンターに約200人の被害者から相談があったという。これまでに、そのうち150人に補償金全額か中間金の支払いを済ませているという。

 同社は、これまでの賠償金と今後支払う賠償金などを合計すると、総額は10億700万円になると見積もった。この額は、同社の18年9月期の経常利益8億8100万円が吹っ飛ぶ金額。一方で、今回の被害者への賠償金支払いは保険の対象になるため、保険会社から同社に支払われる保険金は3億1000万円で、実際には差し引き6億9700万円の支払いになる。
 
 結果、同社の19年9月期決算は、売上高450億円を据え置くが純利益段階では、当初予想の6億円の黒字から1億円の赤字になる見通し。これによって2期連続赤字が確定的だ。APAMANにとって賠償金の支払い以上に失った信頼の代償は大きい。3月から3ヵ月間、大村浩次代表取締役は役員報酬月額30%減額、常務は同20%の減額とするが、コンプライアンスを含めた信頼回復のハードルは高い。APAMANの本当の企業価値が問われるのはこれからだ。


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