今夏、中国資本が伊達市のゴルフコースを含んだ森林を15億円で買収した。このゴルフ場は民事再生中のゴルフ場で再生債権は3億円。中国資本は実にその5倍の値段でゴルフ場を含む森林、907㌶を買った。中国マネーのパワーを見せ付けた買収劇だった。


 このゴルフ場は、トーヤレイクヒルゴルフ倶楽部で伊達カントリークラブの姉妹コース。もともとは同じ企業が2つのゴルフ場を運営していたが、会員権の償還期限が来て返済不能となったために会社分割して洞爺湖リゾートを設立。こちらに不良債権を集約して民事再生を行った。
 伊達カントリーを運営しているのは、カラカミ観光の唐神一族と縁戚にある小笠原氏。トーヤレイクヒルは小笠原氏の娘婿が社長を務めている。
 ゴルフ業界の関係者によると、「トーヤレイクは売れたとしても最高で7億円くらいだろうと思っていたが、中国資本はその倍以上で買ったというから驚きだ。バブル期に作られて行き詰まった道内のゴルフ場は、最高3億円で売れるのが良いところで、相場は1億円から2億円の間というのが常識。中国人実業家がゴルフ場を見る視点は我々の考えている視点とは違うことが分かった」と言う。
 もっとも、トーヤレイクのロケーションは中国人が好む眺望があるため、プレミヤ価格だったという事情通の声もある。
「洞爺湖に昭和新山、有珠山、それに噴火湾も見える。近くには蝦夷富士と言われる羊蹄山、遠くには駒ヵ岳が見えるが、伊達からは駒ヵ岳が富士山のようなシルエットになる。中国人は富士山が好きですからこの価格でも十分と感じたのではないか」(中国事情に詳しい経営者)
 トーヤレイクは36ホールあるが、利益が出ておらず、土日の繁忙期でも営業しているのは27ホール。クラブハウスには温泉を引いているというが、保健所の許可を得ていないため使われていないようだ。
 このゴルフ場を買った中国人オーナーは、海南島のリゾートを運営しており夫人は日本人。オーナーも日本語が少し話すことができるため、壮瞥町長や伊達市長にも面会し、ゴルフ場を含む一体の開発構想を語ったという。地元としても新たな雇用や定住人口の増加にも繋がるためインフラ整
備に前向きに取り組む考えをその中国人オーナーに伝えた。
 不動産業者によると、「あそこは無指定の地域。一般的なゴルフ場は市街化調整区域で建物の制限があるが、無指定だから極端な話、あそこには何でも建てられるのです。コースに隣接してマンションを建ててコンドミニアムとして中国人富裕層に売ることだってできます」
 中国人オーナーが構想しているのは医療関係機関を集積し、長期滞在できる医療ツーリズムの拠点。偶然にも伊達カントリーを所有する小笠原ファミリーには医療関係者が多く、中国人オーナーの構想には現実味がある。
 ところで、このゴルフ場を含む山林を買収した中国人オーナーは、和歌山県でも山林を買収しリゾート構想を持っている。なぜ和歌山県なのか。中国人オーナーと和歌山3区選出の自民党衆議、二階俊博さんとのコネクションがあったからだという。


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