ーーこれからの潮流も肌感覚でわかるのではありませんか。

 市川 総じて言えば、行き過ぎた資本主義の反動が来ているのではないかというのが僕の見方です。グローバル経済がもて囃され、世界基準、世界標準が世界を席巻しました。しかし、時代はグローカルに向かっています。辺境の地も見ているのは世界。その辺境の地ほどコンテンツの宝庫なのです。まさにローカルカルチャーの時代です。都会には情報しかありませんし、その情報も全部辺境から集めてきたものばかり。それだったら辺境に行こうという時代なのです。
 わかってきた人たちは東京から離れて暮らし始めています。地に付いた生き方、地に付いたライフスタイルが求められています。そういう時代だということに札幌の人たちも気が付いてほしい。札幌の何がすごいのかと言ったら、大自然と大都会が背中合わせになっているところです。

 本来、都市を成り立たせるためには何十倍、何百倍の大自然が必要です。札幌は良い都市設計がなされていると感じます。でも、市民はそのことにあまり関心を払っていない。札幌はすごい都市になる資産を持っているのに、目を向けているのは相変わらず東京。事業家もあっちのトレンドばかり追いかけている。そういうことはやめて、札幌らしさを創っていかなければいけない。モリヒコらしさが札幌らしさになってほしいとも思います。札幌は世界に持っていけるトレンドを創る力がある。

 ーー休日はどう過ごしていますか。

 市川 カヌーをしたり釣りをしたりして過ごしています。かなりの時間を自然と触れ合うことに割いていますね。僕のインプットはネイチャー。それをアウトプットしているのが都市での仕事です。自然には膨大な情報があるのに何の商売のヒントもないと思っている人が大半でしょう。でも違う、むしろ都会にはそんなのものがない。都会はアウトプットする場です。都会でインプットしていたら、ろくなものは創れない。僕の経済活動のアイデアが枯れない理由は、全部自然からインプットしているから。

 当社の特徴として、もう一つはマーケティングをしないことがあります。生活者の目線で、自分がまずこういうものがあったらいいなと思うことを大事にしています。僕が街を徘徊するのは、お客と同じ価値観を持った仲間でいたいから。その目線で都市を見たとき、「もっとこんなものがあったら素晴らしくなるよね」という発想が湧いてきます。そういう延長でビジネスをつくり上げていきたい。マーケティングをしない理由はそこにあります。
 正解のコモディティ化が進んでいますが、ビジネスの原点はコモディティ化ではない。目の付け所が違うところにビジネスの勝機がある。他の人がやらないことをやるのがビジネス。

 ブランドはロックンローラーそのものです。世間におもねったり迎合したりしていたらブランドにはならない。ブランドとは、よくこんなことをやる度胸があるなということをやり続けることでつくられます。僕は、コーヒー&サムシングのサムシングをずっと探し続けています。コンパスの軸がコーヒーで、そこからどんな円が描けるかを常に考えています。

 ーー本日は長時間にわたって市川さんの考えや目指す方向が理解できました。貴重なお話をありがとうございました。
(写真は、札幌市中央区の「MORIHICO.藝術劇場」)



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