伝説のカレー「リトルスプーン」復活、時計台観光・鴨田誓一社長とエムフローズン・松村勝治社長がタッグ

経済総合

 20数年前に消えた北海道熟成カレー「リトルスプーン」の復活1号店「北大病院前店」(札幌市北区北14条西4丁目1-13)が、2026年7月10日、オープンした。運営するのは、「味の時計台」を展開している時計台観光(本社・札幌市中央区)。鴨田誓一社長は、「伝説のカレーを知らない世代にも、新たな伝説となるような物語をつくっていきたい」と話している。(写真は、「リトルスプーン北大病院前店」で復活したカレーを味わう時計段観光・鴨田誓一社長=左とエムフローズン・松村勝治社長)

 時計台観光は、関東の横浜家系ラーメン「魂心屋」を展開するトイダック(本社・神奈川県大和市)の社長である鴨田氏が、救済型M&Aで再成長させたラーメン店運営会社。札幌の名物ラーメンを存続発展させた手腕には評価が高い。その鴨田社長は、ラーメンの次にカレーが好きだという。「20数年前に新宿の『魂心家』の近くに『リトルスプーン』があって、臨店(店舗を訪れて指導管理などを行うこと)する時にお腹がすいていなくても、そこで食べてから臨店していた。自分の店のラーメンを食べずにカレーを食べるほどカレー好きで、中でも『リトルスプーン』は大好きだった」と鴨田社長。

 北海道産玉ねぎと北海道産米を使った「リトルスプーン」は、食べるほどに辛さが増していく味の深みがあって、1999年から10数年間、北海道だけでなく首都圏にも出店、大人気だった。鴨田社長が、頭の中に閉じ込められていた味を思い出すきっかけは、1年ほど前に知った「リトルスプーン」のレトルトでの復活だった。「テレビかYouTubeかは忘れたが、レトルトでの復活を知って、取り寄せて食べたところ、懐かしい思いが込み上げてきた。ただ、レトルトだったので、かつての味とちょっと違っていた」(鴨田社長)

 レトルトよりも実店舗で食べた方が、よりおいしいのではないかーーその思いから「リトルスプーン」を製造しているエムフローズン(本社・札幌市東区)の松村勝治社長と接触。エムフローズンは、元々リトルスプーンのセントラルキッチンの役割を持っていたが、リトルスプーンが廃業してからは食品メーカーに転身、カレー、スープ、シチュー、たれなどを製造販売するようになっていた。「リトルスプーン」の名前を復活させてレトルト商品にしたのは、3年ほど前から。味は当時のままで、「セイコーマート」など一部店舗では販売しているが、実店舗展開には二の足を踏んでいた。

 松村社長は言う。「実店舗展開をしたいという外食企業からの申し入れは来ていたが、かつて、一度失敗しているので慎重に考えていた。そんな時に、『魂心屋』で実績があり、『味の時計台』を復活させた鴨田社長からの申し入れがあり、この人ならと全面的に協力することにした」

 鴨田社長がアクションを起こしてから4ヵ月、復活1号店「北大病院前店」がオープンした。時計台観光が展開していた二郎系ラーメン「豚っち」を閉店して転換した店舗だが、場所的には好立地ではなく、むしろ飲食店舗としては条件の悪い場所。鴨田社長は、「復活のブームだけで終わらせたくない。あえて条件の悪い立地で、地道に今の時代にフィットするようにメニューや値段、サービスなどいろんなことを勉強したい」と言う。

 目標日販は15万円。「おそらく3か月後には10万円くらいに落ちてくることが予想されるが、それを切らないようにキープすれば、次の芽が出る。慌てず我慢してやっていく」と、鴨田社長は慎重姿勢を見せる。これまでの成功体験を否定した戦略で臨むことにしている。楕円のアルミ皿に先割れスプーン、深みのある味は当時のままだ。新たな伝説づくりが始まった。

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