別海町・北一ミート・北洋銀がタッグ、廃校跡にふるさと納税返礼品専用の肉加工場

経済総合

 食肉加工の北一ミート(本社・札幌市東区)と別海町、北洋銀行(本店・同市中央区)の3者は、別海町のふるさと納税返礼品に肉加工品を加えるため、タッグを組む。廃校になった中学校校舎を利用して、肉加工施設を設置、北洋銀がファンドを通じて出資する。肉加工品を返礼品としたふるさと納税寄付額を、当初10億円と想定、税収増と雇用創出に繋げる。一次産品に付加価値を付ける地域経済の活性化モデルを確立する。(写真は、2026年3月25日に行われた記者発表。左から別海町・曽根興三町長、北一ミート・田村健一代表取締役、北洋銀行・津山博恒頭取)

 別海町のふるさと納税額は、2025年度で約210億円になる見込み。返礼品は、大半がホタテやシャケなど水産物。町には、乳牛を中心に一部肉牛を含め11万頭の牛が飼育されているが、畜産品の返礼品は少なかった。町の一次産業産出額は年間700億円だが、多くは原材料として出荷され、加工品はほとんど製造されておらず、町内で付加価値を付ける工場誘致が課題だった。

 曽根興三町長は、肉加工品の工場誘致について関係者を通じて北一ミートに打診。北一ミートは、道内自治体のふるさと納税返礼品製造を手掛けているが、別海町のふるさと納税の規模が大きく、現地進出しても採算が合い、併せて地域貢献に繋がるとして進出を決めた。

 工場は当初、自前で確保する考えだったが、町は、2016年3月に廃校になった別海中学校の利用を打診、鉄筋コンクリート造で工場機械の設置も可能として、町から賃借することを決めた。投資額は約6000万円で、2026年3月にリニューアル工事に着手、機械設置などを経て同年7月から稼働を始める。利用するのは、校舎1階の理科室と音楽室で、そこを冷凍庫と工場にする。2階は事務所、休憩室として使う。新規雇用は約20人を予定している。直売所も設ける。

(写真は、工場を設ける旧別海中学校=ゲート提供)

 町は、北一ミートに対してふるさと納税を原資にした起業助成金4000万円を補助、北一ミートと取引のある北洋銀は、日本政策公庫(本店・東京都千代田区)と2025年7月に組成した「ほくよう農業地域活性化2号ファンド」を通じ、第1号案件として3000万円を出資した。投資額は、補助金、出資金で賄う。

 製造する肉加工品は、別海牛すき焼き、ジンギスカン、牛たんの味付けなど、当初は10数品目を用意する。校舎には利用できる教室がまだあるため、2027年からは生ハムの熟成庫を作り、野付の風が当たるようにして1年間熟成させた生ハムなどもラインナップする考え。

(写真は、返礼予定品=ゲート提供)

 2026年3月25日、札幌市中央区のジャスマックプラザ5階「パーティプラザ ザナドゥ」で行われた会見で、曽根町長は「原材料で出荷するだけでは、地域経済が回っていかない。加工して付加価値が付けば地域経済が回る。3者一体となって取り組みたい」と語った。北一ミートの田村健一代表取締役は、「当社は、札幌を中心に事業をしているが、人口減少や少子高齢化に悩んでいる自治体に貢献できると考えて進出を決めた。地域の雇用創出、二次加工による付加価値の増強を通じて北海道経済に貢献したい」と話した。

 北洋銀の津山博恒頭取は「資金面だけでなく、肉加工品の販路開拓や人材派遣などに協力したい。今回がモデルケースとなって、北海道の各地でさまざまな取り組みが進むことを望みたい」と述べた。なお、ふるさと納税は2026年10月から地場産品基準が厳格化されるが、「(規制が強化されても)基準に違反するような返礼品は、これまでも使っていない」(曽根町長)としている。2025年度の同町のふるさと納税寄付額約210億円のうち約90億円の町の歳入になる。このうち50億円を2026年度当初予算に組み込み、国などの補助事業が適用されない農地の土壌改良や水産業の養殖・増殖といった産業振興、福祉関係に充当する。

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