マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。 札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の2024年17回目は、南区真駒内本町5丁目の旧「オリンピアビル」。(写真は、解体工事が始まっている旧「オリンピアビル」)
真駒内通と中の島通が交じり合う真駒内本町地区では、いわゆる下駄ばきビルが今も見られる。そんな下駄ばきビルの一つ、旧「オリンピアビル」の解体工事が始まっている。「オリンピアビル」は、1970年に建設されたビル。1972年と1987年に増築され、5階建て、延べ床面積約1676坪(5532・11㎡)になった。1~2階は店舗や事務所、3~5階が市営住宅として利用されてきた。
しかし、平成の半ばに市は、別の場所に市営住宅を建設、3~5階の入居者はいなくなった。建物は、市とオリンピア総業などの所有、土地は、オリンピア総業社長だった髙橋明治氏の名義だったが、その後は親族に移っていた。
令和に入ると、札幌市や北洋銀行が土地建物を差し押さえ、2022年には、札幌地裁が競売開始決定を下し、2024年3月に宝住宅産業(本社・札幌市中央区)が、土地建物を取得した。解体工事は、同年11月1日から始まっている。解体工事の注文者は宝住宅産業、解体業者は藤田解体工業(同・同市北区)、工期は2025年4月30日までとなっている。真駒内本町の旧「オリンピアビル」周辺は、1972年に開催された、札幌オリンピック当時の街の雰囲気が残っている。旧「オリンピアビル」解体後に新たなビルが建設されれば、街の様子も変わっていきそうだ。