2024年11月23日、イトーヨーカドー屯田店跡に「ロピア屯田店」(札幌市北区屯田8条3丁目5-1)がオープンした。大手メディアで話題の低価格スーパーマーケットが北海道に初上陸ということで、前評判も高い。本サイト記者は、一般客として来店を試みた。(写真は、「ロピア」の入っている建物を取り囲むように並んだ行列)
9時のオープン時は、混み合うことが予想されたため、お昼時を目掛けて現地に到着。行列に並び始めたのは、11時半頃。「最後尾」の看板を手に持っている警備員に聞くと、開店前は、建物を1周するくらいの行列ができていたという。記者が並び始めたのは、建物の半周程度の場所だった。
ゆっくりと行列が進む。後ろには、みるみる人が並び始めた。気温は7℃くらい。じっとしていると手が冷たくなる。すると、店の係員が、カイロを配り始めた。記者ももらい、冷たくなった手を温めた。30分くらい経つと、ようやく建物の入り口に近づいた。意外に早く入店できるのでは、という思いは、中を見て打ち砕かれた。外の行列は、1列だったため少ないように見えたが、中の行列は、空きスペースを利用して、とぐろを巻くように幾重にもなっていた。数えてみると、ざっと10回は折り返している。
(写真は、「ロピア屯田店」の入り口付近)
行列の横では、ロピアオリジナルバックが限定販売されていた。ロピアの買い物券が付いていて、実質タダと宣伝されている。1000円、1500円の2種類があって、買い求める人も多かった。止まっては進み、進んでは止まりを繰り返していると、係員が、マイクスピーカーを腰に付けながら、「行列が大行列になりました。トイレに行きたくなる人もいると思います。1人でお並びの方は、前後の方にお声掛けして、場所取りをお願いしてください」と気を和ませるようなアナウンスを時折、行っていた。
行列は、折り返しているため、並ぶ人たちの表情が見える。施設内にあるマクドナルドで買ったポテトをほうばる人や、自動販売機で買ってきた飲料を飲む人もいた。スマホを操作する人は多かったが、中には、文庫本を読む人も。並び始めてから3時間弱、ようやく店内の入り口まで到着することができた。前の若い男性、後ろの家族連れも、脱落することなく一緒に辿り着いた。
買い物カートは、100円玉をカートの取っ手に付いている挿入口に入れてカギを切り離し、カートを戻す時にカギを挿入すると100円玉が返ってくる預託式。カートの近くには、両替機が置かれていた。そんな操作が必要ない買い物かごをもって店内に入ると、狭い通路に大型のカートが溢れ、身動きできないような状態。
(写真は、「ロピア屯田店」の入り口付近)
青果、精肉、鮮魚の売り場には多くの人が押し寄せ、かつての年末の市場のような雑踏感があった。大容量の精肉、大容量の寿司が目に付き、オリジナルの水産系サラダや佃煮なども豊富に揃っている。提灯を模したようなPOPや木目調の内装、天井近くをおもちゃの汽車が音をたてながら走るなど、店舗名の由来になった「ロープライスユートピア」の演出が印象的だった。
生鮮売り場は、「ロピア」カラーが色濃く出て、道内のスーパーにはない新奇性と臨場感があったが、いわゆるドライ系と呼ばれるグロサリー商品やアルコール飲料などの売り場は、通常のスーパーと変わりがなかった。これらの売り場には、ヨーカドー当時の売り場とそれほどの変化は感じられなかった。レジは、セミセルフレジで、精算機は28台。現金のみの対応となっている。
入店まで3時間かかって買い物を終え、店を出ると、行列の最後尾は施設内に入っていたものの、幾重にもとぐろを巻く状態は変わらなかった。帰途、近隣のスーパーに寄ってみた。「北海市場屯田店」、「ホクレンショップFoodFarm屯田8条店」、「スーパーセンタートライアル屯田店」、「ビッグハウス太平店」。どこも、いつもの土曜日とさほど変わらない入り込みのように見えた。「コストコ」のように、広域から人を呼び込むのが、「ロピア」の強みと言われている。オープン当日、近隣スーパーの状況からその通説は当たっている、という思いを強くした。